おさるのじょじへい

ガラスの城の約束のおさるのじょじへいのレビュー・感想・評価

ガラスの城の約束(2017年製作の映画)
3.2
言わせたら酷すぎる言葉を幼い子供たちたちが発していたり、
姉たちが順番に旅立っていくシーンに、涙を堪えることができなかったのですが…。
ジャネットが恋人を捨ててまで、父親のもとに向かったのを見て、それまでの涙が嘘のように引けてしまいました。

劇中で描かれた両親レックスとローズマリーは、いわゆる毒親ではないでしょうか。
子供に教育も受けさせず、食事も与えないこともしばしば。でも子供を手放すことも出来ずに、依存し続けている。
両親ともに、自身も親から辛い仕打ちを受けてきたことが原因ではあるけど、現実から逃避したまま生きている。
絶縁されても仕方のない両親像だと思うのですが…。

ところが、ラストのご本人たちの実際の映像を見る限りでは、なかなか楽しそうに両親との思い出を語り合っており、
実在の両親は、映画で描かれたほど毒親ではなかったのではないか?と感じました。
破天荒(正しい意味での)で、個性的ではあったけど、それなりに子供への愛情があった親なのではないかと。

もちろん映画なのだから、全て真実のままに伝えなくてもよい訳ですが、結局レックスの生き方を美化することで、“いいお話”に仕立てようとしているのだと思うと、感動を得ることが出来ませんでした。


ジャネットたちと同じような経験をし、傷ついたた人々が「うちの親もいい親だと思わなきゃ」と今作を観て誤解をし、人生の負のループに陥らないことを願うばかりです。