偽名祐司

新感染 ファイナル・エクスプレスの偽名祐司のレビュー・感想・評価

3.8
韓国産ゾンビ超特急映画

ゾンビで新幹線でタイトルが「新感染」っていう時点でネタ感が半端無かったんですが。存外に観てみるとネタは無いけどベタだらけでした。

話はアプリ参照って事で。
良くわからないけど発生したバイオハザード。主人公達が乗った新幹線(KTX)にも感染者が乗ってしまう。以下頑張ってサバイバルするぞ!っていうお話。

主役達の説明が手短ながら上手い。「仕事の事しか頭に無く、部下に娘の誕生日祝いのお勧めを聞き、買って与えると二台目の男」というね。wiiUなのがなんとも言い難い。そんな仕事人間の父と別居してる母に会いにいくと聞かない娘。
高校のアイドルとその娘に好意を向けられ恥ずかしい野球部生徒。
お腹の中の子の名前を中々考えない夫と妊婦。

序盤の不穏な状況を小出しにするのも良い感じ。アバンで轢かれた鹿があっさり生き返るシーンとか、新幹線が発車した時点で既に感染がかなり世界的に広がってると思わせる。

とにかく感染というかゾンビ発症してパニックムービーとなった以降なんですが。ここからはもうゾンビ映画やゾンビゲーム、その他諸々で「ああ、この話見た事あるわー」的な展開がこれでもかとてんこ盛りです。

「ゾンビより自己保存優先の人間の方が怖い」とか。「ここは俺に任せて先に行け」とか「散り際に子供の名前を伝える」とか。それらのベタではありますが王道のネタを新幹線、という細い閉鎖空間で上手く展開させてます。

それに一役買ってるのがゾンビ設定。「鳥目なんで暗くすると音に反応する」とか「動かない、見えない奴には襲わない」「そもそも噛む以外の知能が無くなる」等。

…でもそれなら「共食いなんでしないの?」「なんで遠く離れたゾンビもこっちの事気がつくの?」「二分じゃ通過無理じゃない?」とか、思ってもその辺の詳しい設定は最後まで明かされないので諦めましょう。ゾンビ映画ってそういうもんです。

だからこそ出来るトンネル通過時脱出や、ゾンビ雪崩、ゾンビキャプチャーネットです。絵的に面白いから良いじゃない!って事で一つ。グロさが少ないのも見易さの一つとなってるでしょうか。

概ねベタなんで予想通りな展開で進むのですが、個人的に予想外だったのが「序盤から登場し不法乗車した何か知ってそうなおっさん」です。だいたいこの騒ぎの原因や隠された真実を最後の最後に告白する役割だと思うんですが。淡々と最後ギリギリまで生き残って特に何のエピソードも無く退場するという。ここまで本当にベタで来たのでここだけは肩透かしを喰らいました。

想定通りのラスボスやそれ以後の展開。世界的状況や、終着駅以降が希望がどうかすら明かさないまま思いついたように最後の伏線使って話は完結します。上手いと思うかどうかは人次第。

色々と詰めこんだ気楽に見れるゾンビパニック映画としては良いんじゃないでしょうか?
偽名祐司

偽名祐司