淡々と、けれども力強く
昨年のアカデミー賞作品賞のノミネート候補では、「ラ ラ ランド」超えの大ヒットを記録していたにも関わらず、日本では集客が見込めないことからお蔵入りになっていたかもしれないという。
やっとのことで日本公開が決まるも「私たちのアポロ計画」という素敵な副題に批判が殺到し、最終的には「ドリーム」というタイトルに落ち着いた。
ともあれやっとレンタルで観賞できることに。
実話ベースの話のためか、大きく盛り上がるところはあまりない。黒人と女性の存在が軽んじられていた時代に生きた女性を割と淡々と描いていく。
昨今のマイノリティーに寄り添った形で映画を描く、とはまた違う、差別や偏見を声高に叫ぶのではなく、そのおかしさを冷静に指摘していくその描き方が素晴らしい。
特に秀逸なのが主人公の1人がトイレについて語る本作のハイライトシーン。感情を爆発させる彼女と、ケヴィンコスナーの抑えた演技と直後の行動が涙を誘う。
原題は「Hidden Figures」(隠された人たち)で、正に歴史に埋もれていた女性たちの力強い活躍を描いた佳作。