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ドリームのhorahukiのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.2
すっごく面白かったです♫
アカデミー作品賞ノミネートも納得な素晴らしい作品でした。『ドリーム』っていう邦題たたかれてますけど、私は結構良いと思います!

あらすじ…
アメリカとソ連が宇宙開発でバトってた時代。NASAで計算係として働く三人の黒人女性が、それぞれの分野で障害に立ち向かう姿を描くお話。

人種差別、男女差別に負けずにそれぞれの分野で前に突き進む女性たちを描いた、実話ベースの痛快コメディ。差別が作品の根本に色濃く関わっているとはいえ、全く重苦しくなく、むしろハッピーな気持ちになれる良作でした。

差別を真正面から描いているのではなく、あくまで三人の女性たちの自己実現のための障害として描かれているにすぎず、夢を実現させるためには自分が置かれた現状を分析し、先を読み、今できる最善手を選択して行動することが必要だという普遍的なテーマを下敷きにしているため、万人の心に響く。

そして、特定の白人や男性にヘイトを集めるのではなく、人類の発展に対する明らかな妨げになっている社会システムの不合理性そのものに観客のヘイトを向けているため嫌味がない。

本作における差別を作り出したのは白人や男性ではありますが、それらをただ批判するだけでは何も変わらない。差別問題を、普段の生活においても人類の発展のためにも、どうすることが合理的なのかという方面からアプローチをしてるのがこの映画の面白いところだと思います。

そのためにも外見に囚われない個の能力や内面での評価の重要性を訴え、「みんな平等じゃないと、日々の生活も不便だし、人類の発展もないよね!」というテーマに持って行くのがうまい。過去や現在に対する批判ではなく、この先どうするのが良いのかという前向きで合理的な視点が、この映画の纏っている明るさの要因だし、差別というものを飛び越えて、観客一人一人に「自分もがんばろう!」という気持ちにさせるのだと思います。
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