ゆーあ

BLEACHのゆーあのレビュー・感想・評価

BLEACH(2018年製作の映画)
3.5

シリーズ化超希望!

『ジョジョの奇妙な冒険』『銀魂』など、人気ジャンプコミックスの実写映画化が続く中で、この『BLEACH』も、原作の知名度と死神・虚などのファンタジックな設定からどういうものができあがるのか大きな注目を浴びていた作品だと思います。

結果は最高!!

近年急速に発展しているVFXと邦画アクションの融合において、一躍トップランナーに躍り出るクオリティ!虚は重量感があって恐ろしく、それにめちゃくちゃに破壊される街も遠慮がなくて気持ちいい。特殊効果で生まれた敵の背を駆け上がって額に振り下ろす斬魄刀の一撃は、質量を感じて迫力満点!一方学校生活パートは邦画が最も得意とする分野で、最新技術もお家芸も、培ってきたものを全てつぎ込んで『BLEACH』を作ろうという姿勢にリスペクトです。

人気漫画の実写化で一番話題になるのはキャラクターのビジュアルですが、これはもう100点です。まず福士蒼汰さんの顔がいい。一瞬たりとも例外なく顔が良い。死神化したときの、巨大な斬魄刀を肩に担いで振り返る姿。バックで暴力的に鳴り響くロックミュージックが花を添えてトンデモなくカッコイイ。キャスティングと撮影、演出を担当された方々にマジappreciationな気持ちです。ルキア役の杉咲花さんはちょっと活舌が悪いけど、正体を隠して学校生活を送るさまが可愛くて、こりゃ白哉隊長もシスコンなりますわ。あとチャドの完成度がもんのすごい。あのチャドは霊圧消えなさそう。

ストーリー構成もとっても良かったです!ひょんなことから死神代行を務めることになった一護が、母に護られた記憶と己を庇うルキアの姿を重ね、グランドフィッシャーと闘う決意をするが、それこそが母の命を奪った仇敵だった―。この流れに一切の無駄なエピソードや設定の装飾がないので、展開が迷子にならないし、一護の真摯で一本気な想いが伝わり没入感が倍増する。それ故に冗長になりやすい修行シーンも熱をもって応援することができる。更に私は「軽快な音楽とともにお送りする修行・準備シーンダイジェスト」が好きなので、ここはすごく楽しかったです。本作を作られた佐藤信介監督の傑作実写化映画に『アイアムアヒーロー』がありますが、これもエピソードの取捨選択と切り上げ方が絶妙で、2時間で完結する1つの作品として完全無欠の完成度を誇っていたので、匠の技といえるでしょう。

それゆえに最後のVS恋次、白哉隊長は今回の物語的にはあってもなくてもいいおまけ感が強いのですが、私は早乙女太一の爆速剣戟を見に来たところがあるので、がっつり楽しむことができて満足でした。いやーーさすがですね!!!予備動作が一切なく、目が追い付かないスピードで猛追撃してくるさまは呼吸する隙も与えず、畏怖すら覚えます。私は劇団☆新感線の『髑髏城の七人』で福士さん、早乙女さんの殺陣を生で拝見したことがあるのですが、何がすごいって、本当にあのスピードで動くんですよね!それはもう凄まじい迫力で、人体ってそんな速さで動かして大丈夫なの…?と心配になるくらいでした。そこに映像作品だからこそできるカメラワークや演出が加わり、フツーの人間とは一線を画した死神同士のアクロバティックな超絶バトルが実現しています。
しかし始解した蛇尾丸の蛇腹剣のようなギミックが、早乙女恋次の強みであるスピードを完全に殺してて、これ武器と使用者の相性悪すぎっすね…始解しなければ圧勝できたんじゃないのww

最後に、エキサイティングなバトルアクションはもちろんですが、霊や虚の恐怖描写の巧みさも、実写『BLEACH』の絶賛すべき特長だと思います。特に冒頭の、雨の河原に佇む少女。そのリピートである墓地までの道を塞ぐ姿。ここにはジャパニーズホラー特有の湿った物悲しさが充満しています。この娘がグランドフィッシャーだとわかっていても、最初に沸きあがる恐怖は強敵を前にした時の身震いではなく、幽霊を見た時の背筋が凍る「それ」。衣装や美術だけでなく、目に見えない日本人の感性まで捉えているからこそ『BLEACH』の持つ和風テイストが存分に生きているのではないかと思います。

オサレで格好良くてエキサイティングで和風な現代バトルアクション作品。様々な要素を持ちながら一つでも引いたら『BLEACH』にならないところを、全クリして魅せた実写版。一瞬だけ見れた尸魂界の外観も最強に格好良かったので、今度はそこを舞台に思いっきり大暴れしてほしいです!
ゆーあ

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