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否定と肯定のクレセントのレビュー・感想・評価

否定と肯定(2016年製作の映画)
3.8
勝訴の後の記者会見で被告の女性教授はこう言った。今回の判決は表現の自由を妨げたという人もいますが、私が闘ったのは悪用する者から自由を守ることだったのです。何でも述べる自由はあってもウソと説明責任の放棄だけは許されないということです。表現は多種多様ですが、否定できない事柄があるということなのです。そして一方では敗訴した原告の歴史家がテレビのインタビューでこう叫んでいた。本来なら私が勝ったのだが判事の脳天に私の言い分を打ち込めなかったのが失敗だ。テレビの司会者が聞いた。今後ホロコーストの否定をやめるのですか?やめるって?まさかやめませんね。しかし裁判長は判決であなたの行為は許されないとしましたが。判決を否定しますよ。判決を否定?それを見ていた女性教授はもうウンザリだわと言った。現代は価値観の多様化により、事の良し悪しの判断が難しい。例え裁判で勝っても控訴されて逆転することが往々にしてある。表現の自由は守らなければならないが、ウソや悪用だけは許してはならないというのが正義を貴ぶ法律の限界なのだろうか。これは実話に基づいた映画である。
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