河豚川ポンズ

くるみ割り人形と秘密の王国の河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

3.5
美術と衣装の情報量で押しきる映画。
正直観終わった後はマッケンジー・フォイの顔しか頭に残らんよね、これ。

ロンドン、雪の降る街はクリスマスムードに包まれていた。
シュタールバウム家でも例年通りクリスマスの祝い事の準備をしていたが、今年は母親が亡くなったこともあって家族全員落ち込みがちだった。
父親のシュタールバウム氏は、実は妻から子供たちにクリスマスイブに渡すように頼まれていたプレゼントがあると子供たちに伝える。
それぞれに手渡されクララ(マッケンジー・フォイ)は自分のものを開けてみると、鍵のついた卵型の入れ物が入っていた。
鍵は無く開けようがないと思っていたが、よく見てみると「ドロッセルマイヤー」の文字が。
ドロッセルマイヤー(モーガン・フリーマン)は天才的な機械技師でクララの名付け親、しかも今日は彼の家でパーティーがありそれに家族で招かれていた。
彼に聞けばこの箱を開けてもらえるかもしれないと思い、クララはドロッセルマイヤー邸へと向かうのだった。

原作は三大バレエの題材にもなった絵本の「くるみ割り人形とネズミの王様」。
と言ってもそのバレエも絵本も見たことないので、チャイコフスキーの作った曲ぐらいしか分からないけども。
とにかくその世界観を圧倒的な作り込みと情報量で再現してやろうという意気込みがすごい。
CGを使えばいくらでも画的には見映えするものなんて作れるのに、そこをしっかり美術で勝負していこうというのは、ディズニーだからこそ成せることなのか。
しかも途中でがっつりバレエが始まるんだからすごい。
これは映画なのか舞台なのか、俺は一体何を観に来たんだろうという感じ。
ただストーリーはそのまま再現というわけではなく、その原作の主人公の娘を主役に据えた後日談、そして時期的なこともあってクリスマス映画向けに手は加わっているっぽい。
まあそれがちゃんと上手くいってるのかどうかと聞かれると、少しストーリーが平易過ぎるというか読みやすいというか。
もうとにかく似たような展開がありふれてきている分、何というか新鮮みや驚きが弱いと言わざるを得ない。

主演のマッケンジー・フォイは、こういう主人公に抜擢されるだけあって、確かにずいぶんと整ったお綺麗な顔立ちで…と思ってたら、「インターステラー」の幼少期のマーフ役と知って驚いた。
もう気分は宇宙船でビデオ見て泣くマシュー・マコノヒーですよ。
モーガン・フリーマンとヘレン・ミレンは一応確かにいるんだけど、とても出番が少ないというか弱い。
全然印象に残らなくて、それだったらそんな全面に押し出さなくても…。
そういうこともあって、完全にマッケンジー・フォイ売り出し映画になってた。
キーラ・ナイトレイはそこそこ出てくるけど、別にそこまで…という感じ。
キャストが豪華なのにそれを持て余してる。
まあ安心して子供に見せられるクリスマス映画という需要にはピッタリなのかも。