他者を受け容れるということ
これだけ多様性が叫ばれる時代にあって、世の中は未だ異なるものをすんなりと受け容れるようには出来ていないのだと思う。
不寛容な社会からはじき出された人は如何に生きていくのか。「羊の木」のテーマの根幹はそこではないかと思う。
吉田大八監督の映画は登場人物のバックボーンが分厚い。それぞれのキャラクターがしっかりと肉付けされていて、どの人物も多面的な顔を覗かせる。
単純な善人も単純な悪人もいない。「人が肌で感じることは大概正しい」と劇中で語られるが、肌で感じることには良いことも悪いことも同時に存在する。
例え社会が不寛容でも、たった一人受け容れてくれる人がいる。人間にとって何より大切な一つの要素を感じさせてくれる作品だった。