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そうして私たちはプールに金魚を、の小のレビュー・感想・評価

4.5
ナニコレ、凄く面白かったんですけど。『南インド映画祭』のインド映画を観る前の時間つぶしのために、内容など良く知らずに鑑賞。チケットを購入する際、スタッフの方から混雑するので上映の10分前には必ず戻るよう念を押されたことで、これは人気作なのかなと思ったくらい。

ググッてみると、2017年1月に開催された「第33回サンダス映画祭」の短編部門9000本の中からグランプリを受賞した作品とのこと。同映画祭で日本人としてグランプを獲得したのは初めてらしい。

サンダス映画祭って何?って感じですが、次のようらしい。
(http://www.galacollection.com/?pid=20324718)

<サンダンス映画祭は毎年1月にアメリカ、ユタ州のパークシティーで開催される映画芸術科学アカデミー公認の映画祭です。1985年に「インディペンデント映画の発掘と育成」を目的に、映画監督で俳優のロバート・レッドフォードによって設立され、今回で33回目を迎えます。世界最大のインディペンデント映画の祭典としても知られ、インディペンデント監督が世界デビューを果す登竜門として最も重要な映画祭の一つです。>

ちなみに『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼル監督の『セッション』も同映画祭でグランプリを受賞。そう思うとますます凄くないすか、これでグランプリって。

そうとは知らずに観ている間は、今の日本の若者が抱く閉塞感をとても良く表しているなあと思っていた。でもそうじゃないんだね。アメリカで評価されたことから見ても、若い頃に誰もが抱く普遍的な気持ちを描いているんだね。

2012年に埼玉県狭山市で実際に起きた事件がベース。4人の女子中学生が400匹もの金魚をプールに放流し、書類送検された。映画は、金魚をプールに放流した女子中学生について、「プールに泳ぐ金魚の姿がきれいだと思って」ではないであろう、ホントウの気持ちを描いている。

親、社会に対する反発や嫌悪感。かといって、どうにもできないけれど、どうだっていいと思うような虚無的で頽廃的な感じ。それが、わずか約30分程度の間に40シーン以上ぎっしり詰め込まれ、笑って、共感してしまう。

とにかく「ない」。楽しくない、面白くない、やる気がない。平和は退屈で、勉強すること、部活をすること、恋愛すること、結婚すること、生きること、全てにおいて意味なんてない。

こうした気持ちは「大人になると忘れちゃうみたいだよ」と劇中で言っていたけど、まさにそう。そして、こうした気持ちは国籍や人種による違いはない。

「親、死なないかな」の台詞に思わず吹き出してしまった。そして今でも彼女たちに結構強めに共感できてしまう自分は、いまだに気持ちの根本が中2なんだな、と思い知らされてしまう。好き嫌いがはっきり分かれそうな映画だけれど、自分はかなり好き。もう1回観たかった。
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