TAMU

人生フルーツのTAMUのレビュー・感想・評価

人生フルーツ(2016年製作の映画)
4.3
全く予備知識を持たぬまま、人待ちの空いた時間にピッタリハマったので鑑賞。

思いがけない出会いはこう言う時にあるもの。今となっては心より見て良かったと思える作品。

家庭菜園を中心としたスローライフを営む87歳と90歳の老夫婦を追ったドキュメンタリー。これが実に沢山のことを教えてくれる。

ナレーションの樹木希林のとぼけた感じのナレーションも心地よい。

韓国映画『あなたあの川を渡らないで』と相通じる夫婦円満の秘訣。それはお互いへの思いやりの心、相手の話を聞くこと。そしてユーモア。

おじいちゃんはおばあちゃんを「秀子さん」と呼ぶ。名前を呼び捨てにしてない時点で個を尊重する態度が出ている。

おばあちゃんはおじいちゃんに「何でも1人でやってみなさい。やれば必ず何かが見えてくる」と言われ、今ではその言葉を大切にしている。それは色々なものが見えたから。

2人のスローライフには意味がある。子や孫にお金を残すことはできないが、土を畑を森を残すことができる。この繋がりは植物、動物、人間で育んでいく営み。

この育て、育てられの営みこそ、将来世代に残さなければならないこと。説得力があるのは、その人生がフルーツのようにみずみずしい。思わず自分も何か栽培するなり、やってみようと言う気持ちに駆られた。
TAMU

TAMU