TAMU

声もなくのTAMUのネタバレレビュー・内容・結末

声もなく(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

大好きなユ・アインの作品だし、雰囲気も良かったし、文句なしに面白かったと思いたかったのだが…
そっとしておこうかと思っていたが、結局コーダのレビュー書いたついでに記録用にぶちまけるの巻。

本作のユ・アインはろう者テイン役。セリフがひとつもない。
両親から見放されたのか、片田舎の更に奥にあるほったて小屋に住んでいる。
弱者であるが故か、優しい兄貴分である、こちらも大好き(いわゆる長家会長チャン・デヒ)ユン・ジェムンと卵売りの裏で死体遺棄稼業を営む。

そんな彼らがひょんなことから少女を預かることになり。

ユ・アインと言えば、『ワンドゥギ』、『カンチョリ』、『バーニング 』と不遇な境遇を,耐え忍ぶ、耐え忍び顔の名手。

無理難題を言われて見せる苦虫を噛み潰したような顔、最高!これが楽しみだったw
更には、もの悲しい背中を見せながら夕日を背に自転車を漕いでいく姿、涙がこぼれる。

ここまでは最高だったな…
本作、惜しいと言えば惜しい、ユ・アインが喋ることができないからなのかもしれないが。

入り込めなくったのはこの3点。

先ずは妹の存在。ぶっきらぼうのお兄ちゃんのもと、髪はボサボサ、顔は真っ黒のような出立ち。テレビを見るか食べるかしか興味がないこの子は素っ気ないお兄ちゃんに懐いている。
そこまでは良いとして、どうしてこの子は巧みに話せるんだろうか、と違和感。テレビ?

次に誘拐されたチョヒ。殺されないように良いところを見せようとして、あたかも出来の良い女房のように掃除したり洗濯物を畳んだりするのだが、あの歳で綺麗に畳んだりできるのだろうかと現実味が薄れ。。

更には、脇を固め過ぎなコメディ演出の強い役者陣。特に後半に出る警官2人はいらなかったんではないのか。あそこで集中力が途絶えると言うか、話が大きくなりすぎるというか。

まあ、監督がユーモアを好む人なのでしょう。シリアスで緊張感が高まると、ついついサービス精神を見せてしまうと言うか、バランスが悪いと言うか。

まあ、バランスは悪いが情景といい、ストーリーの推進力といい、ハマれば大好きな映画になりかねないので、次回作に期待!
TAMU

TAMU