らくだ

名前のらくだのレビュー・感想・評価

名前(2018年製作の映画)
3.5
本名と身分を偽り、たくさんの名前と立場を入れ代わり立ち代わり演じながら生きている中村正男(これが本名)が、そのことに気づいて近づいてきた謎の少女・笑子に付きまとわれるようになる。ふたりがお互いの本心や秘密を探ろうとしていくサスペンス…では全くなく、その交流と行く末を描いたヒューマンドラマです。

まずとにもかくにも津田寛治の「うさんくさい軽薄なダメ男」があまりにも完璧すぎて、もうそこだけで観る価値だいぶありますよねという感じです。だって津田寛治顔が良いんだもん…顔の良い男には栄養があるので…
最初は自身を偽って生きている正男に迫っていく話で始まっていくのですが、そこにサスペンス的な湿度や駆け引きはなくて、なんだか「ちょっとダメなおじさんと女の子のご近所づきあい」みたいな不思議な据わりの良さというか、安心感があります。
そしてお話は正男から笑子の方にシフトしていき、2人が名前や自身を偽って生きている、という後ろ暗さや危うさを乗り越えてちゃんと爽やかな所に着地してくれるので、非常に後味が良かったですね。これがサスペンスだったらどうなってたかわかりませんよ!(サスペンスじゃないので安心ですね)
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