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怪談 鏡ヶ渕のhorahukiのレビュー・感想・評価

怪談 鏡ヶ渕(1959年製作の映画)
3.5
今日は幽霊の日ということで久々の怪談映画。本作は三遊亭圓朝『鏡池操松影』を映画化した恐らく唯一の作品。累ヶ淵の要素を感じさせつつも、クライマックスでは悪役に殺された幽霊たちが勢揃いするオールスターお祭り感を味わえる楽しい怪談でした。

でも怪談らしく前半は超絶胸糞展開。というか最後の最後までずっと胸糞。金持ちの家に拾われた好青年の主人公が許嫁のお菊とともに養子となり家を継ぐ。それを良しと思わない番頭とその女が水面下で悪行の限りを尽くし、お菊夫妻を徹底的に貶める。

お菊の姉の結婚式をボロの花嫁衣装を売りつけることで台無し(安物を買いやがって!お前に渡した支度金を何に使ったんだ的なことを言われて破談)にし、怒りに狂った姉を沼に突き落とす。更には主人公が管理していた江島屋の大金を覆面つけて強奪、家宝を売ってまでお金を返そうとした主人公の父親を道中で殺害→家宝まで奪う…。他にも色々とずっと悪行を繰り返すというカス野郎。ほんと最悪すぎる!

彼方から続く道を幽霊がやってくる怪談的な恐怖演出は、常に悪役たちの心的な真相が罪悪感というロープで彼方と繋がれていることを感じさせるもので面白いのだけど、『東海道四谷怪談』の伊右衛門のような役者の演技から感じ取れるものはなく少し微妙に感じた。それに殺した相手が多いからこそ何度も幽霊が登場してしまうのも流石にやりすぎ感があって興醒め。

それでも怪談映画でよく見る常連の北沢典子さんの美しさは見どころだし、『亡霊怪猫屋敷』で化け猫お婆ちゃんを演じた五月藤枝さんはまたもやヤバいババアを演じてて目線の凄み方含めた安定感が素晴らしい。ちなみに藤枝さんは『女吸血鬼』でも化け物お婆ちゃんやってるっていう…😂

それでもクライマックスの幽霊オールスターズ見れただけでも良かったし、累ヶ淵と同じく珍しいオッサンの幽霊も見られるお得感もあって良かった!
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