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ビーイング・チャーリーのNMのレビュー・感想・評価

ビーイング・チャーリー(2015年製作の映画)
3.0
リハビリに奮闘する少年の波乱万丈の物語。ロードムービーのような雰囲気。派手な演出がなく落ち着いて観られる。

死んだような眼で誕生日ケーキをじっと見つめるチャーリー。葬式か悪魔儀式のような雰囲気。
18歳になった。周りには同じような眼をした若い男性たちが数人。
半年過ごしたこの薬物リハビリ施設の生活は相当退屈だったらしい。

チャーリーは施設を抜け出す。施設内のチャペルをちらりと見やるがすぐ目を逸らす。信仰はないらしい。石を投げステンドグラスをぶち割って去る。

家を目指すが、その途中で早速薬物に手を出す。
親友のアダムに電話をかけるとすぐ迎えに来てくれた。彼もダメな面は多いがチャーリーの掛け替えのない友人。

アダムは変わらないが、他の地元の友人は断薬に成功したり、大学に進学したりと、それぞれの道に進んでいた。チャーリーは高校も出ていない。

家に着くとそこは豪邸。父は有名俳優で、知事選の立候補を控えている。
しかし父に家には戻さないと言われ、仕方なくまた別の施設に入ることに。
前の施設のステンドグラスの件で告訴されるところだったが父のコネで抑えた。今度父が見限ればチャーリーは刑務所行き。

しぶしぶまた別の施設へ。
するとそこで気の合う女の子エヴァに出会う。二人とも真面目に過ごし、仲間の何人かと一緒に、より自由な次の施設へ移れることに。

ただし患者同士の付き合い・恋愛は回復の妨げになることも。施設では恋愛禁止。
好きあっているのに何もできないことがエヴァにはじれったかった。

次の施設でもなんとか抜け出さずに済み、体調は良くなっているようす。
お楽しみ会で見せたコメディは不謹慎ではあったが職員にもコメディアンの道を勧められた。アダムにも以前勧められていた。

ついに外出許可を得た二人だが、最近エヴァの様子がどうもおかしい。
実は彼女は我慢の限界を迎えていた。自由が増えたことがかえってつらかったらしい。
彼女を失い、自暴自棄になるチャーリー。

親友アダムが彼を受け入れた。ずっと明るく楽観的に見えていたアダムだが彼もまた深い孤独を抱えていた。二人とも親からの愛情に飢えているという共通点があった。そして悲劇が起きる。

ついにチャーリーは家に帰ったが選挙日三日前でとても落ち着ける状態ではなかった。
一人になりゆっくり考えるチャーリー。
今までのこと、これからのこと。

アダムは最後に話した。友達が死んだとき親は何も言ってくれなかったと。チャーリーの場合は親が迎えに来てくれた。何となく、親の愛情にやっと気づけたのかも知れない。

ラストに劇的な展開はなく、何となく、これから上手くいくかもしれないしまた色々あるかもしれませんね、という程度の雰囲気で終わらせる。
リアリティがあって好み。

メモ
オキシコドン……がん第3段階の疼痛等に使う強い鎮痛剤、半合成麻薬。アメリカでは薬局等で比較的容易に入手できるため乱用が多く、過剰摂取による死亡も多数ある。
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