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台北ストーリーのKKMXのレビュー・感想・評価

台北ストーリー(1985年製作の映画)
2.1
加入しているサブスク『ザ・シネマメンバーズ』で台湾映画をたくさん取り扱っているため、この際だから観てみることにしました。
そこで、よく耳にするエドワード・ヤン監督の本作を試しに鑑賞。有名な『クーリンチェ殺人事件』は長尺なので、まずはこちらを選びました。


いや〜ぜんぜん合わないね!辛気臭くて冗長で、メソメソしていて妙な詩的さも鼻につく。生理的に合わないってのはこういうことを言うのだな、と実感しました。
説明を廃して陰影の強い絵面で見せる手法は好きだし、時代の転換期に揺れる男女を描いているのも好みなんですけど、決定的に刺さらない!都会で頑張って生きる強がり屋さん女子アジンは本来大好きなタイプなんですが、彼女にはサッパリ惹かれなかった。


おそらく、本作は大仰なのだと思います。ラストの展開とか長渕ドラマみたいだし、実は大味。アジンが孤独を埋めるためにヤンキーっぽい連中とツルむのも大映ドラマのようでした。クールな手法で繊細なものを描こうとしている割には、根っこはベタで大袈裟だと感じました。
また、主人公の2人もはじめからすれ違っているし、物語が進んでも本質的な関係性に変化がないので退屈に感じてしまう。腐れ縁てのはこういう関係のことを言うんだろうな、と勉強にはなりましたが。
それから、ここではないどこかを求める2人だけど、アジンが求めているのは安らぎだから、結婚はまだしもアメリカへの逃避を求めるのは違和感を覚えました。
結婚もアメリカも万能薬じゃない、みたいな当たり前なことをわざわざセリフにするのもね。せっかく抑制してきたのに。暗い部屋で青と黒のシルエット状態でこのセリフが出てくるから雰囲気に飲まれるけど、正直微妙だった。やり直せると錯覚するとかさ〜、向かい合わないんだからそんなの当たり前じゃん。
2人の悲しみは頭では理解できますが『このように2人は悲しいのです!』と説明されているようでゲンナリしました。演出では説明を廃しているけど、実際は説明的でクドい印象を受けました。

で、このテーマをサッと料理してるのならばまだしも、とにかく激烈にダラダラしてるので死ぬほど飽きました。劇場鑑賞してたら帰ってたね。体感時間は5時間。ファニーとアレクサンデルもびっくりだ。


とても雰囲気はあるし、ベタでロマンチックな作風なのでハマる人にはハマるのでしょうが、俺にとってはクソつまらねぇガーエーでした。エンディングの古賀メロディもシケてるわ。2020年きっての駄作『パラダイスロスト』と同じ点なのはさすがにアレなので、0.1加点しましたよ。
エドワード・ヤンはもう十分なので、これからはツァイ・ミンリャンを観ます。
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