ロミオ

THE BATMAN-ザ・バットマンーのロミオのレビュー・感想・評価

4.2
「鳥だ!飛行機だ!スーパーマンだ!」とは程遠い、「なんやあいつ!正気じゃない!変態コスプレ野郎だ!」な新米バットマンが、己の存在意義を確立するオリジンだと思った。スパイダーマンNWHといい、素晴らしいヒーロー誕生譚が同時期に公開されるというなんとも奇妙な偶然。

とにかくまだ青臭く、ナード感がハンパない今回のバットマン像。冒頭「影に俺がいるのか?いや、俺が影だ」。厨二病が泣いて喜びそうなくらいヤバい。ただ本来バットマンとはこうゆうやつだと思う。狂気と正義を紙一重で両立する稀有な存在。だからこそ、ヴィランとは常に鏡像関係になる。

でも狂気のすんでで耐える、バットマンの特殊能力は"耐える力"だ。確実にマットリーヴスもそこを意識して作っている。(というかインタビューで言ってたのを拝借した)銃とかめちゃ痛いんですけど、周りの目鋭すぎる、えここから降りるのマジかよ、"だが耐える!"未熟でもこれこそバットマンだと感じた。

今回のリドラーの造形は『ジョーカー』と非常に似ている。こうするしかなかった者たちの叫び。それに対するアンサーをバットマンのオリジンと重ねるラストは、『ジョーカー』以後リブートする意味として必然性を感じたし、ヴィランとバットマンを分つものの提示として良かったと思う。

自分の中で『ダークナイト』は生涯ベスト2の作品だし大好きな作品だけど、あれをバットマンの映画と思ったことはない。良くも悪くもジョーカーというヴィランとのラブストーリーだと思っている。そういう意味では、純度100%のバットマン映画として、本作は好きにならざるを得ない作品だった。

ダーンダダーンダーンダーン、そんな映画。
ロミオ

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