ロミオ

TITANE/チタンのロミオのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
3.6
アレクシア 髪の色/ブロンズ、性的対象/車、特徴/頭にチタンプレート、職業/ダンサー 兼:殺人鬼 という黒崎一護もびっくりの盛り盛り設定。そこにさらにボディーホラー、聖書、ジェンダー、妊娠なんかも絡んできて久保帯人も唖然。でも終着点は愛の物語でなにを見ていたんだ感。

前半部分はジャンル映画のそれで話が進む。とにかく痛い。痒いところに手が届く痛さ。実在感のある痛みのシーンが苦手な自分にとっては結構きつかった。よくよく思えば前作のRAWもきつかったのだから当然といえば当然。痛みを通じて映画を描く、まさに作家性が宿る痛みだ。

しかし、後半からは装いが少し変わる。男、さらには同じ痛みを抱える、主人公の同族が登場する。アレクシアは自らの成長、というよりも時の経過による、女性体が故の身体的変化を拒絶する。一方で、男性側も時間経過(老い)による、自らの理想的男性体との乖離を拒絶する。

ここに2人の奇妙な共通点が生まれるのだ。時の流れへの抵抗、未来への拒絶が2人を急速に疑似親子関係へと導く。その関係が境地に達するのがラストだ。同じ痛みを抱えるからこその信頼が2人を未来へと進ませる。先へ進むことへの躊躇も入れ込みながらも、手を取り合い未来を許諾する2人。

それは愛以外のなにものでもない。その様を神秘的、神話的に描いて本作は終わる。あまりの清々しさになにを見せられてるのか感はあったが、納得させるだけの凄みがあった。が、正直にいうと抽象度が高すぎ。いちいち自分で考えるのだるいから、マジ考察勢しくよろ。俺は帰って寝るわ。というなにを読まされていたんだ感になる文章で急に終わりとする。

コードブルーでさえきついのに頑張ったよ俺...、そんな映画。
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