HK

THE BATMAN-ザ・バットマンーのHKのレビュー・感想・評価

4.1
3時間という尺に恐れをなして劇場鑑賞を断念した本作ですが、意外にも配信では一度もトイレに行くことなく一気に鑑賞。2回は行くと踏んでたんですが。
自宅の方がリラックスできたからか、それとも体調の問題?
本作いろいろな噂を聞いていたので、ちょっと心配でしたが十分楽しめました。

冒頭、バットサインを見て恐怖する街の小悪党たちの描写からいいですね。
観ているこちらもつい悪人と一緒に暗闇に目を凝らしてしまいます。
荒唐無稽なフィクションの世界だからこそ細部のリアリズムと独自のムードが重要。

先日観た『シン・ウルトラマン』もそうですが、昔ファンだった現在の作り手にとって大好きなキャラや名シーンをオマージュして自分流にアップデートするのは究極の夢であり念願なんだろうなとあらためて感じました。羨ましい限り。

今回のブルース・ウェインはこれまでになく暗くて病的で、公の場で愛想笑いのひとつもできそうにないキャラ。
青白い顔に目の周りの黒いメイクはまるでジョーカーのようにも見えます。
ロバート・パティンソンはバットマンのマスクは似合いませんが、私としては『テネット』で希薄に感じた存在感が『ライトハウス』や本作を観て印象が良い方に変わってきました。
今回のバットマンスーツやバットモービルも歴代と比べスマートさは無くむしろ武骨ですが、まだ完成前の粗削りなバットマンのイメージには合っているのかも。

ゾーイ・クラヴィッツのキャットウーマンは野良猫っぽい感じがよく出てました。
ゴードン警部補のジェフリー・ライトは最近何にでも出すぎでちょっと見飽きてきました。
アンディー・サーキスは初の体育会系アルフレッド?
まん丸な童顔サイコ、リドラー役のポール・ダノは顔出しわずかながら相変わらずのインパクト。この人いまからどう歳をとっていくのか興味があります。
コリン・ファレルは・・・本人が満足ならまあいいのでしょう。

ラストの人名救助シーンは、本来のバットマンのあるべき姿を久しぶりに観たようでホッとしました。このラストでバットマンは“ミスター復讐”を卒業。
これもまたひとつのバットマン・ビギニングでした。

最後に、ラストに登場したあのキャラを演じていたのがなんとバリー・コーガン(『聖なる鹿殺し』『エターナルズ』)だと後から知ってビックリ。
HK

HK