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デヴィッド・リンチ:アートライフのいののレビュー・感想・評価

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アトリエ、煙草、白髪。幼い娘ちゃん。デヴィッド・リンチは映画監督という肩書きに収まる人ではなくて、芸術家なんだ、ということを初めて知りました。数々の過去の写真や映像に、リンチ本人の語りを加え、生い立ちから、イレイザーヘッドの制作に至るまでを回想していきます。そのなかで私が感じたことは、リンチは穏やかな人で、案外、普通の人なんだ(そのように見える)ということです。愛情深い両親に、まっとうに育てられたことが、リンチの土壌となっているように感じました。幼き頃からの写真や映像・創作物がたくさん登場することからも、リンチがいかに大事に育てられてきたのかを想像することは難しくありません。(もちろん、まっとうな両親に育てられなかったとしても、素晴らしい人はたくさんいらっしゃいます。)それから、リンチは、幼き頃からずっと何かを制作し続けていたことも初めて知りました。そうせずにはいられなかったのでしょう。とにかく、何かを創作している。「創作し続けないと、自分は見つからない。」というようなことをリンチ自身も語っていましたが、本当にそうなんだろうなと納得しました。


リンチの話しぶりから、彼が(多分)健全な精神の持ち主だということがよく伝わってきます。深い闇に沈むには、明るい光を知っていないとならないのでしょう。そのことに私はなぜか励まされます。傑作をたった一度だけ生み出すのなら、狂った精神で狂ったものを作れば良いのかもしれない。でも、傑作を作り続けるのならば、年をいくつ重ねても破綻せず、第一線で活躍し続けるのならば、強靱な精神が必要です。狂った世界へとダイブしていき(異界へと越境していき)、そして再びこちらの世界へと戻ってくるだけの、精神の強さやしなやかさ。それは、芸術が好き、ただただ好きという、少年のような情熱からくるものではないかと想像しました。イレイザーヘッドの制作場面の回想で、何もかもを自分で作るのが本当に楽しかったと語っていましたが、本当は小さな世界で、何もかも全部を手作りして、こだわりの作品を作っていただきたいと、そう思った次第。


えっ!?
イレイザーヘッドも、エレファント・マンも、それだけじゃなくてアレもコレも観てないのに、お前が何を言う、だと? はい。おっしゃる通りでございます。大変失礼致しましたっ💦 出直してまいりますっ🏃=3
いの

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