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ユリゴコロの小のレビュー・感想・評価

ユリゴコロ(2017年製作の映画)
3.7
「少女漫画原作の日本映画には、見たくないものを見てしまう現実への処方箋がない」とは社会学者の宮台真司先生が言っていたことだけれど、この映画は見たくないものを見てしまった人の物語ではないかと。

見たくないものは「ユリゴコロ」と書かれた、ある殺人者の記憶が綴られた一冊のノート。見てしまった人はどうするか…。

ノートのお話はなかなかよくできていて、緊張感が途切れない。前半の描写は痛い、痛い、痛い、という感じで見るのが辛かった。吉高由里子さんの演技はなんか凄かった気がして、ビデオでじっくり見たいかも。幅広すぎな演技力を持つ松山ケンイチさんも見せてくれる。

まあただ某刑事ドラマみたいに、人が簡単に死んでしまうように思えるシーンもあり、なんだかなあと。あと現在のシーンでは、千絵に対する亮介の思いの強さの説得力がイマイチ。また、あの方は最強ですか? みたいな。

で、見たくないものを見てしまった時、どうすれば良いのか。映画の中の過去も現在も、答えはやはり損得とか好悪とかを超えたところにあるんだなあ、と。それ以外に自分が救われる道がないのかもしれない。

●物語(50%×3.5):1.75
・ちょっと粗っぽいところもあるけれど、緊張感が持続する。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・ 吉高由里子さんって、やっぱりいいね。

●画、音、音楽(20%×3.5):0.70
・まあまあキレイ。
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