河豚川ポンズ

クルエラの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
4.3
ファッション×ハードロックな映画。
率直に、コロナ禍のせいで公開が遅れて、そこまで話題にならなかったのが残念だったな。

生まれつき半分黒、半分白の変わった髪を持つエステラ(エマ・ストーン)は、仲間のジャスパー(ジョエル・フライ)とホーレス(ポール・ウォルター・ハウザー)とともに泥棒家業をしていた。
そんな彼女には子供のころからファッションデザイナーが夢だった。
ジャスパーとホーレスはそんな彼女のために、誕生日に老舗のリバティ百貨店で働くことができるように手配する。
デザイナーとしての第一歩を踏み出すことが出来ると喜んだ彼女だったが、あてがわれる仕事は床やトイレの掃除ばかり。
それならばと支配人にショーウィンドウのディスプレイやマネキンの服飾を任せてほしいと直談判するも取り合ってもらえない。
ヤケになって泥酔したエステラは、ある夜ショーウィンドウのディスプレイを百貨店の雰囲気には合わないパンクファッションを取り入れたものに勝手に変更してしまう。
当然激怒する支配人、エステラは百貨店をクビにされるがそこに偶然世界的なデザイナーであるバロネス(エマ・トンプソン)が来店する。
しかし大胆で斬新なショーウィンドウから並外れたセンスを感じ取ったバロネスは、エステラを自分のオフィスに勧めるのだった。

あらすじだけなら「プラダを着た悪魔」的なサクセスストーリーかと思いきや、ここからハイスト映画や色んな映画の要素がてんこ盛り。
さらに時代が70~80年代ということもあって、その時代のロックとファッションが取り入れられてて純粋にビジュアルを楽しむだけでも面白い。
それに合わせてエマ・ストーンも悪役のエマ・トンプソンもどちらもすごい存在感。
今までのディズニー実写化系には無かったスタイリッシュが今作はとても強い。
こういう映画観るとすぐ影響されちゃうから、サントラ買っちゃうし、Spotifyでディープパープルとかも聞いちゃうよね。
「ムーラン(2020)」が悪い方向で話題になってしまっただけに、こっちは正統派に面白かったから売れてほしかったな。
ご時世的に仕方な部分がどうしても大きいけど。

ストーリーとしては、エステラがクルエラに変わっていく過程がかなりいきなりに感じた。
「マレフィセント」然り、ディズニーヴィランの過去にはこんな悲しい物語が~っという話になるけど、ぶっちゃけこの映画のクルエラが「101匹わんちゃん」に出てくるクルエラになるのかというのは正直疑問。
なんせダルメシアンの皮を剥ごうとするようなやつですし。
クルエラの人間性の底の部分にはエステラであったころの優しさが残っていたというストーリーなら、なおさらダルメシアンの皮を剥ぐなんてしないだろうにと思ってしまう。
逆にそこまで踏み込んだストーリーを作って、かつ子供も大人も楽しめる形に着地したら間違いなく大傑作間違いなしですけどね。