小

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルの小のレビュー・感想・評価

4.1
リアルタイムで知っている1994年1月の「ナンシー・ケリガン襲撃事件」。女子フィギュアスケートのオリンピック候補のトーニャ・ハーディングがライバル選手の襲撃にかかわっていたという。そのトーニャ・ハーディングが主役の映画だから事件の真相を明らかにするのかと思いきや…。

トーニャはとにかく闘っている。とても酷く悪者な母、元夫だけでなく、ライバルや社会までもがみんな敵、みたいな。口喧嘩や物の投げ合いはもちろん、ショットガンをぶっ放したり…。ヨリのカメラがトーニャの動きに合わせて動く演技中のシーンの撮り方なんか、格闘アクションに似ている気がする。

恵まれない境遇の中で育ってきたためか自己肯定も強烈で、自分を激しく主張し、結果がどうあれ負けと思わなければ負けじゃない、くらいの気持ちなんじゃないかと。暗さはなく、ストーリーの途中でカメラに向かってしゃべるシーンなんかを観ると、『デッドプール』的ダークヒーローって感じ。

そんなトーニャ役を務めたマーゴット・ロビーの演技が凄い。製作にも加わったこともあって、気合十二分なのではないかと。マーゴット・ロビーはこの役を演じることで、ちょっと違うカテゴリーだよねー的な女優としての自分の状況(私の妄想です)を見返してやりたいと思ったという感じなのかな。

ラストに今のトーニャが何をしているのかが映し出されるけれど、恐れ入るわー。本作のトーニャ、本人と比べると、まだしおらしい方なのかもしれない。

●物語(50%×3.5):1.75
・かつての事件を可笑しさを交えながら描く。真相というよりはキャラクターを魅せる内容。まあ、真相をどうしても知りたいような事件でもないから。

●演技、演出(30%×5.0):1.50
・マーゴット・ロビーの演技が最高。お母さんもなかなかきてた。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・トーニャのスケーティングシーンの映像が印象的。
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