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犬ヶ島のmazdaのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.9
観賞から時間あいてしまったけど超絶楽しみにしてたウェスの新作ストップモーションムービー第2段!公開してから一番最初の字幕付上映会にて観賞。
犬インフルエンザの流行によってゴミ溜め島に送られる犬たち。ペットらしさを忘れてやや狂犬化するなかで一人の日本人の12さいの男の子が愛犬を探しにやってくる。

コミカルでおしゃれで、でもどことなく観るものを皮肉る毒がある。可愛い世界観とは距離があってわかりやすいけど子供にみせるアニメではない、大人の絵本とでもいうようなウェスが作るアニメーションの世界。
細部のこだわりがすごいウェスが描く日本、もちろん映画あるあるの外国人が描くとなんか違う日本。。っていうあの特有の雰囲気がないことはないんだけど、それを彼がやるとすごい。レトロフューチャーとはまたちょっと違う、近未来感保ちながらそこに同居する昭和感。本当に彼にしか作り出せない世界観と思う。

面白いのが犬の言語は英語で、字幕付き上映だけど日本人が話すパートはほぼ字幕がでてこないから見ていた他の外国人客は犬目線でこの物語をみている。館内は終始笑い声がもれてたんだけど、日本人のなにいってんのかよくわからない雰囲気に笑ってる空気感を、どちらの言語も理解することができる日本人側としては、その館内の雰囲気事態が不思議で面白かった。
日本語がわからない人からすれば犬目線で見れることが面白いし、日本人からすれば、画面そこらじゅうに散りばめられる漢字の意味とかセリフのチョイスとか細部の面白さを理解できることが楽しいし、そういった意味で誰が見ても楽しめるように作っていることに、ウェスが言語の違いや国の違い、日本のカルチャーをリスペクトしていることを感じる。

そしてあまりに贅沢すぎる声優人チョイス。渡辺謙に夏木マリ、ポスターには載ってないけど山田孝之、最近婚約した松田翔太と秋元梢のコンビまで。豪華な声優人がすごいのではなく、こんな度級の有名人なのに、正直耳をすまして聞いても誰が何役だったのかわからないほどのちょい役なことがすごい。でも彼等もまたウェスの作品に出れる喜びのきもちでこのオファーを受けたのかなと思う。

個人的には毒いりワサビ(ワサビのイメージと毒のマッチ感はんぱない)と、海外から日本に留学できている女の子のホームステイ中のおばあちゃんとのやり取りがとても好き。
ウェス臭で充満しきった画面。ファンにはたまらないでしょう。
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