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夜明け告げるルーのうたの小のレビュー・感想・評価

夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)
3.6
『夜は短し歩けよ乙女』の湯浅政明監督の完全オリジナルによる劇場用長編アニメということで鑑賞。

人魚の体の特徴が面白く、それが日無町という町名や特産品の傘、歌のパフォーマンスとつながる展開の物語に上手さを感じる。でも、基本的には感動を呼ぶ王道ストーリーで、大人目線ではやや物足りなさはあったかしら。

主人公のカイは、両親が離婚し、わだかまりを抱える男子中学生。一方、人魚は古来から災いをもたらすとされる社会のはみ出し者だけど、人魚の少女ルーは邪気がなく天真爛漫で、カイはルーに心をほだされていくというありがちな流れ。

そして、はみ出し者の人魚は社会から攻撃を受けるけれど、町の危機に際しては町民を助け、皆の誤解を解いたところで…、みたいな展開もありがち。悪くはないけれど、積極的に観たい話ではないかな。

公式ウェブを見ると、<「心から好きなものを、口に出して『好き』と言えているか?」同調圧力が蔓延する現代、湯浅が抱いたこの疑問がこの物語の出発点だった>とあるけれど、口に出す以前に、まず「心から好きなものって何だろう?」と問うことが、選択肢が多くかえって何もできなくなっているみたいな今の時代に合っている気がする。

作画は『夜は短し歩けよ乙女』のインパクトには、自分的に及ばなかったけれど、独特で、疾走感、躍動感のある映像世界はやっぱりいいですね。それに歌も良い。だから、小さい子どもがいる人ならば、家族で見て、大人もそれなりに楽しむ映画ではないかと。

●物語:1.50(3.0×50%)
・上手さは感じるけれど、王道感強め。テーマは自分とズレがあるかな。

●演技、演出:1.20(4.0×30%)
・動きがやっぱりいい。キャラクターも好き。

●映像、音、音楽:0.90(4.5×20%)
・味のある作画が好き。斉藤和義の曲も好き。
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