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イット・カムズ・アット・ナイトのBeSiのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

おほほ〜まさかAmazon Primeで観れるとは!A24作品「イット・カムズ・アット・ナイト」初鑑賞です。

真夜中にやってくる"それ"に怯えながら暮らす一家。そしてある日1人の男が一家のもとを訪れる。この出来事がのちに狂気と恐怖が渦巻く惨劇の始まりになるとは誰も知らない.................。

安易な結末で終わらせないのがA24。今回も色々と考察を楽しめる作品だった。
以下考察(ネタバレ)レビュー。



①ピーテル・ブリューゲルとの関連性
この映画には2枚の絵画が出てくる。劇中ではっきりと意図的に映し出されたので"絶対コレは何か意味がある"と思い調べた。まず1枚目。雪山を下山し帰村する3人の狩人。下には楽しそうに生活する村人。ルネサンス後期の風景画家、ピーテル・ブリューゲルの代表作"雪中の狩人"だ。映画と照らし合わせると通ずるものがある。貧富の差そして集団からの疎外感だ。他と同じ暮らしをして共同社会を築き上げているにも関わらずいつまで経っても楽な生活はできないうえに周りから疑いの目をかけられる。そして2枚目。こちらも同じくピーテルの描いた作品"死の勝利"。14世紀に大流行したペストによって亡くなった人々を題材にし、死を具現化したインパクトのある作品だ。"それ"の正体を明かしているようにも思える。"死"は目には見えない。しかし人間は恐怖に駆られると"死"が具現化しているように見える生き物。見えていないものに対して恐怖を覚える生き物。疑念や猜疑心が見えない敵を作り上げる。こういったメッセージも合わせて伝えているのではないかと推測する。

②"それ"の正体とは
先ほども述べたようにこの映画の登場人物たちは見えない敵と戦っている。これについては、"下手したら最初からそんなものなんて無かったんじゃないか?とも推測出来る。これは言わばこの作品のスタンスであろう。思い込み=自己肯定感 が生み出す暴力の連鎖.......恐ろしい。あんな胸糞展開は久々だった。そりゃ気分悪くなる。


いつに増してクセが強いなA24さん。良い意味でも悪い意味でもハマる人にはハマる作品だと感じました。好きだわこの感じ。
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