ケイスケ

ハウス・ジャック・ビルトのケイスケのレビュー・感想・評価

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
3.3
ゴ◯リ「ジャックおじさん、今日はいったい何を作るの?」

ジャックおじさん「今日はね!人間を繋ぎ合わせてお家を作っちゃうぞー!」


ラース・フォン・トリアー監督の久々の新作。カンヌ国際映画祭で途中退出者が続出したにも関わらず、上映終了後にはスタンディングオベーションが巻き起こったという謎映画。ハマる人にはとことんハマるカルト映画ということでしょうか。もしかしたら途中退席者はグロとかが原因じゃなく、トリアーの思想についていけなくなった可能性もあり。

悪い意味でDIY精神が豊富なシリアルキラー・ジャック。マット・ディロンの怪演もあり語り継がれるキャラクターになるかも。映画が面白いかは別問題ですが…。個人的にラース・フォン・トリアーの映画は好みが合ったり合わなかったり。まあ、ほとんど合わないんだけど笑。なぜか『ニンフォマニアック』は好き。本作は…バイオレンスシーン以外ちょっと微妙でしたね。

まず152分は明らかに長過ぎる。途中で何度か睡魔に襲われました。殺人が起こる場面の前兆とかは面白いんですけどね。特に親子を殺す場面はマジで最悪。子どもを撃った後に放心状態の母親に「好きな数字は?」としつこく聞き、虚ろながらに「…12」と答える母親。そしたら12カウントを始めてその間に逃げる母親を撃ち殺します。よくこんなイヤな描写を思いつくよな!

ほんと全編通して悪趣味なんですよ。最初の方でユマ・サーマンの顔面をジャッキで殴打して、グチャグチャになった顔をピカソ的なキュビズムの顔の絵と重ねるとことか。これ笑っていいんだかよく分からんけど、ナイスな演出だと思います。ジャックにしてみれば殺人も芸術と同じということなんでしょうか。

正直、このユマ・サーマンは衝動的に殺されても仕方ないんじゃなかろうか。こいつもある意味、やべーサイコパスですよ。車が動かなくなったからジャックに助けてもらいますが、修理屋の行きも帰りも勝手にジャックの車に乗って「あなた殺人鬼みたいね笑」とか煽り出して「やっぱり殺人鬼じゃないわね。だってアンタへなちょこそうだし笑笑」…え、何なんだお前は一体。

人を選ぶ映画なのは間違いないです。でもニンフォマニアックあたりから、苦手なトリアー監督と少しずつだけど分かり合えてきた気がするんだよな笑。ひたすら露悪的な展開が続きますが、ジャックのように悪趣味とアイディア力は紙一重なのかもしれません。良くも悪くもトリアーの次回作が公開されたら観に行きたいですね。