マヒロ

50年後のボクたちはのマヒロのレビュー・感想・評価

50年後のボクたちは(2016年製作の映画)
3.0
学校で浮き気味の14歳の少年・マイクは、みんなが招待状を貰っているクラスのマドンナであるタチアナの誕生日パーティーに招待されずにふてくされていたが、同じくスルーされたロシアからの転校生でマイク以上の変わり者であるチックに、休みを利用して自分の親戚の家まで一緒に出かけないかと誘われる……というお話。

年端もいかない少年たちが車に乗って旅に出るという、なかなか危険な匂いの漂うロードムービー。
不動産屋で裕福だが浮気性の父と、そんな父のせいか精神的に不安定になっている様子の母を持つマイクはやや塞ぎがちで、気になるタチアナにも話しかけることができない陰キャ気質の少年(何やらシンパシーを感じる)。
対するチックはかなり謎で、ロシアからの転校生と紹介されるが自身の出自を聞かれるとはぐらかし、酒を飲んでいるらしき描写はあるしやたらと運転は達者だしと、とてもマイクと同じ14歳には思えない貫禄がある。マイクを誘った動機もいまいち分からず(単に暇そうだったからなのか?)、最後まで正体を掴みきれない不思議な存在だった。
そんなこんなでなんとなく始まった旅の中で、本来だったら交わらなかったであろう2人の少年が、ちょっとしたトラブルに巻き込まれながら徐々に友情を深めていく様が爽やかで良い。

ただ全体的に語られない部分が多すぎるなという気がして、前述のチックの描写については彼のミステリアスな魅力に繋がるから良いとして、例えばマイクがクラスで浮いてる理由がよく分からなかったり、旅の途中で出会うイザという少女とのエピソードの余りにもあっさりした出会いと別れなど、もうちょっとじっくり描いてくれても良かったかなと思うところがかなり多く、やや薄味気味。
全くつまらないというわけではないんだけど、世界観の深掘りが無くて物足りなさを感じてしまった。一番重要ともいえる邦題に繋がるあるシーンも、もっとマイク、チック、イザの三人の仲が深まるような描写があったら良かったなと思った。

(2020.172)
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