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オールド・ボーイのkuuのレビュー・感想・評価

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)
3.8
『オールド・ボーイ』
原題 Old Boy.
映倫区分 R18+.
製作年 2003年。
日本初公開 2004年11月6日上映。
時間 120分。

『JSA』で国際的な注目を集めた韓国のパク・チャヌク監督が、作・土屋ガロン、画・嶺岸信明による日本の同名コミックを原作に、15年間の監禁生活を強いられた男の復讐劇を容赦ないバイオレンス描写で描いたサスペンススリラー。

平凡な会社員オ・デスはある日突然何者かに拉致され、ベッドとテレビしかない狭い部屋に監禁されてしまう。
理由も目的も分からぬまま15年の歳月が流れたある日、オ・デスは突如として解放される。
若い女ミドの協力を得て犯人捜しに乗り出したオ・デスの前に、謎の男ウジンが出現。
ウジンはオ・デスに、監禁された理由を5日間で解き明かせと、互いの命を懸けたゲームを持ちかける。。。

15年もの間、ひとりの男が何者かに監禁されって。。。
以上の設定から、ふとブライアン・デ・パル マ監督の『愛のメモリー』(真っ黒クロスケ松崎しげるではありませんので)を思い出した方もいるんちゃうかな。
まぁ、🎼思~えば、遠~くへ来たもんだ🎵
気の長い復讐譚であり、そうなると本作品への興味の焦点も、復讐の動機と、その仕掛けに向けられるんやけど、ここでは監禁された者の復讐と、監禁した者との復讐が巧みに交錯しあう面白さがありました。
つまり、どちらも被害者であると同時に、加害者であるということやねん。
ただし、それ故に観る側は、複雑怪奇なドラマが進むに連れ、結末 がもたらすカタルシスなど求める術もないことに気づかされちまい、終局的には戦慄の瞬間を心待ちにするしかないちゅう恐れと、邪心で画面と対峙せざるを得なくなっていく。
まずは、そんな境地に至らしめるまでのパワフルな演出に圧倒されました。
特に主人公が監禁される15年の経過は、密室の美術センスなどもあ いまって、非情なまでの緊迫感が伴われてたかな。
一方、ようやく外界に出た主人公が真相追及の行動に伴うシーンやと、ちと、悪乗りが過ぎるギャグ と過剰な暴力描写の融合に辟易する部分も否めないが、 それらが実は観てる側をはぐらかすための手段でもあることに、やがては気づかされる。
即ち、ドラマ中盤で観てる側の心理を困惑もしくは麻痺させることによって、真相が明らかになるラストをより衝撃的に映えさせる効果をもたらす演出なんやと思います。
事実、原作とは異なる映画独自の真相は、あまりにもショッキングやった。
『口は禍の元』、『物言えば唇寒し秋の風』のたとえに倣ってか、主人公が舌を切断するくだりやと 悲鳴ってまではでないまでもチョイビビる。
また、監禁した者の復讐の方法そのものに対して吐き気を催すほどの戦慄が走った。
こりゃもう
『愛のメモリー』どころの騒ぎじゃなく、画面からもたらされる視覚的暴力と、ドラマが仕掛けた精神的暴力の両面攻撃によって、観る側は完全にKNOCK OUT。
もはや、好き嫌いはともかくとして、力作であることは認めざるを得ないっすわ。
しかし、本作の奥に潜む恨みの想いは、あまりにもむごく、そして悲しすぎるかなぁ。
まぁ、まんまと嵌まっちまった作品ですわ。
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