B5版

ゆれる人魚のB5版のレビュー・感想・評価

ゆれる人魚(2015年製作の映画)
3.0
人魚姫の物語を下地に、残酷童話としての一面に比重を置いた本作。

人魚を現代的歌姫とした設定、曲自体の仕上がりは好き。ミュージカル映画として曲の豊富さは他に引けを取ってない。
ただ描き方はMVに近く、撮り方も単調で気合が入ったショットがないので正直面白くなかった。

全体的にオシャレな雰囲気があり推せるところもあるが、結局、古典である人魚姫の物語を現代的に捉え直した上で、どこに焦点をあてたいのがあやふやなのが残念。
献身なのか異種間恋愛か。
前者であれば人魚の姉妹の人格があまり描かれずよくいえば純真、ともすれば本能に寄った獣的行動をするため、人間と人魚の関係性が単なる搾取の間柄にみえる。
後者であればあまりに互いの背景に対する苦悩が少ない。これが観たいならシェイプ・オブ・ウォーターとぼくのエリを観ればよろしい。

物語を華やげる表面の要素に凝るだけでなく、奥底にどういうメッセージや教訓を込めたのかを伝えて欲しかった。消化不良。
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