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アトミック・ブロンドのchikichikiのレビュー・感想・評価

アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)
3.8
 "根無し草"


 世界最高機密の"リスト"奪還と裏切り者の二重スパイ"サッチェル"を見つけ出すという任務を遂行するため、冷戦末期のベルリンへと潜入した、MI6の諜報員ローレン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)のお話。


 まるでハードボイルド小説を読んでいるかの様な 主演シャーリーズ・セロンの渋カッコ格好良さがたまりませんっ!!
 
 青味がかった画面によって、寒々しいベルリンのヒリヒリする様な空気感が非常に良く出ていましたし、こだわりを感じさせるスタイリッシュな画作りと要所要所のネオンカラーのライティングが非常に良かったです!!
 →ライティングを活かす主人公の白髪もgood!!


 作品全体を通して映像と音楽がとってもスタイリッシュで、とりわけ映像面で見所となるのはやはり、アクションシーン!!

 そもそも振り付けが対人戦闘として、かなりリアリティーがあるのは勿論、シャーリーズ・セロンの迫真の演技による激しい戦闘の緊迫感や徐々に蓄積されていく疲労感がヒシヒシと伝わってくる様でした。
 そして、それらをより効果的に魅せるための演出が更に加わる事でかなり見応えのあるシーンに仕上がっておりました!!
 

 また、音楽面に関しては物語の内容にしっかりとマッチした歌詞を持ってきた上で、当時の時代感を見事に演出する80'sの楽曲の選曲、並びに使い所が個人的にはかなりツボでした!!

 それと個人的に、映画館のシーンでタルコフスキーの『ストーカー』が上映されてたのが印象的でした。
→これを本作の物語に置き換えるのであれば、寄る辺無き人々(とりわけ主人公)が望んでいたモノとは一体何だったんだろうか?


 主となる物語がスパイ物としては割とよくある内容ではあると思いますが、敢えてボカされたままのストーリー展開が続き、そこで好き嫌いが分かれてしまうかもしれません。

 なので、それぞれの人間関係の複雑さが本作の魅力の1つである事は重々承知の上で、かなり贅沢な事を言うと、個々人の目的や冷戦下各国の利害関係などをより簡潔に深掘りしてくれるともっと見やすいのかなーと。

 と、言っても個人的にはこのちょっとしたモヤッと感が結構好きです。笑


 激烈カッコいいシャーリーズ・セロンを見たい方。または、80'sの音楽好きな方はぜひっ!!
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