140字プロレス鶴見辰吾ジラ

96時間の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

96時間(2008年製作の映画)
3.8
【冷静と憤怒の親父①】
~パリは燃えているか?~

「舐めてた相手が殺人マシーンだった。」という映画用語を世に送り出したシリーズ。シリーズ通じて冒頭に父が娘への愛情を表現しようとすると、当てが外れたり、期待に添えなかったりと等身大の失敗をして、リーアム・ニーソンが八の字眉で親父の哀愁を演出するシーンが描かれるが、これがキュート。

このギャップからの殺人モードへの移行かと思ったが、実は殺人マシーンでは無い気がする。彼は娘の誘拐を電話越しに聞きながら、あまりにも冷静沈着にスキルと経験を駆使して手掛かりを捜そうと策を巡らせる。これが「96時間シリーズ」のブランドなのだと思う。恐ろしく冷静に獲物を追い詰めその憤怒の拳を叩き込む。娘愛しき父親の暴走ではなく、ブライアン・ミルズという男の底知れぬスキルと経験で敵を追い詰める快感を娘という目標達成装置と愛情表現装置を配置して楽しむ「コマンドー」よりスタイリッシュな父親応援映画なのだ。

ブライアン・ミルズのスキルに酔え!アクション映画界の「なろう系」。強くてタフな父親に“なろう“シリーズの初陣は悪との交渉など念頭にかすらない銃弾で始まる!