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ワイルド・スピード/ジェットブレイクのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.7
【アクション映画のススメ】
ワイルド・スピード/ジェットブレイク
(2021)
◆ジャンル
カーアクション
◆類似作品
・ワイルド・スピード ICE BREAK (2017)
・トランスポーター イグニション (2015)
・ミッション・インポッシブル・シリーズ

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・ドミニクはパートナーのレティや幼い息子ブライアンと3人で平穏な日々を過ごしていたが、否応なく自身の過去の罪と向き合うことに。
・ドミニクの実の弟ジェイコブの存在が初めて明かされ、その因果はファミリーを窮地に追い込んでいく。ファミリーは世界を揺るがす陰謀を阻止するため、凄腕の殺し屋で超一流の運転技術を持つジェイコブとの戦いに身を投じる…。

〈見処〉
①空をブチ抜け——「ワイルド・スピード」シリーズ第9作。
・『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(原題: F9)は、2021年公開のカーアクション映画。監督は、シリーズ第3作から第6作を手がけたジャスティン・リンが復帰。
・メガヒットカーアクション「ワイルド・スピード」シリーズの第9作となる本作は、ビン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソンらおなじみのメンバーに加え、前作『ワイルド・スピード ICE BREAk』に登場したシャーリーズ・セロン扮する悪役サイファーや、サン・カンが演じるハンも再登場。さらに新たな敵となるドミニクの弟ジェイコブ役でジョン・シナが参戦している。
・本作は、当初、2019年4月にユニバーサル・ピクチャーズから全世界公開予定だったが、本シリーズのスピンオフ作品『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)や、本作と同じユニバーサル配給の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)の公開、さらに新型コロナウイルスの感染拡大の影響など、度重なる延期を経て、2021年6月に米国公開、8月に日本国内で公開された。日本では、2021年度洋画興行収入最高の36.7億円を記録。全体興行収入TOP10に洋画では唯一(10位)入った。

②犬猿の仲
・シリーズ第5作『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011)以降、第8作『ICE BREAK』(2017)まで登場し、さらにスピンオフ『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)まで実現させた、ドウェイン・ジョンソン演じる人気キャラクター、ルーク・ホブス捜査官は、本作では未登場。その要因はドウェインがシリーズのメインキャラクターであるドミニク・トレット役の主演ヴィン・ディーゼルと長らく不仲であるためと報じられている。
・そもそものきっかけは、前作『ICE BREAK』。ドウェインが、ヴィンの頻繁な撮影の遅刻、さらに自身のトレーラーに籠り、共演者の演技を批判したりしている姿に対して「ビビリ野郎」「こんなに腹の立つシリーズはない」「プロとしての自覚がない」とSNSにて罵り、のちにディスりの対象がヴィンであることを明かしている。
・ヴィンとドウェインは同作の撮影期間中に話し合いを行う時間も設けたものの、「映画づくりや共同作業について、根本的に哲学が違う」と撮影も別々に行われた。
・さらに、同作では、ホブスがジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウと撮影した、二人の場面をおまけシーンとして挿入されることになっていたものを、これを知らされていなかったヴィンが激怒し、スタジオに対して同シーンをカットさせたとの報道もなされた。
・燻っていた二人の対立の火花が、ついに爆発したのが『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』。シリーズ9作『ジェットブレイク』よりも先に、シリーズ途中参加者のドウェインと彼のお抱えプロデューサーであるハイラム・ガルシアが、自分のスピンオフを推し進めたとして、ファミリーのメンバーから不満の意見が聞こえるようになっていた。
・しかしながら、基本的に沈黙を貫いていたヴィンは、2019年にドウェインが結婚した際、彼のInstagramに祝福メッセージを送ったことからドウェインは軟化。「すべての道はひとつに繋がる。トレット、また会えるのを楽しみにしてる」と返している。
・しかしこの後、ヴィンがドウェインに対し「時には愛のムチを与えることで、そうしたものをやりきらなければならなかった」と上から目線のコメントがなされると、「これぐらいにしておきましょう。彼らの成功を願っているし『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』の成功も願っていますよ。10作目と11作目、その後の『ワイルド・スピード』の幸運も祈っています。俺なしで作られる映画のことをね」とドウェインは反撃。
・本作のプロデューサーも状況を見かねて、ドウェインは今後は、ヴィンらがいるメインサーガに干渉されず、『スーパーコンボ』に続く独自のシリーズを進める意向を断言。
・ヴィンは、再びドウェインに向けてSNSにて故ポール・ウォーカーの名前まで出して、第10作『ファイヤーブースト』に出演してほしいと懇願を続けているが、ヴィンとドウェインは仲違いを続けているが、果たして、彼らの結末はどのようになるのだろうか?

③結び…本作の見処は?
◎: アクション映画の密度の濃さは、シリーズ有数。とくに、強力な磁力によって路上の車体を引き寄せる「重力無視」のカーチェイスは、前作『ワイルド・スピード ICE BREAK』の「車体の雪崩」を上回るド迫力アクション。
◯: 本作ではとうとう宇宙へ。どのように大気圏を抜けるか、娯楽映画としての興味は尽きない。
◯: エンドクレジット前に登場する青のR34型スカイラインGT-R。ミッションから引退したブライアンが、現在もファミリーのなかで健在であるという設定が、故ポール・ウォーカーを偲ぶ演出として垣間見れる。
▲: 本作では、ドミニクの弟が唐突に登場。
また、本シリーズ恒例の「キャラクター甦り」は本作でも描かれているが、ストーリーの起伏を与えておらず、脚本の弱さはシリーズ有数。
×: 大人の事情にて、ドウェイン・ジョンソン扮するルーク・ホブス捜査官は未登場。サプライズがないことがサプライズ。
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