140字プロレス鶴見辰吾ジラ

移動都市/モータル・エンジンの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

3.5
8/14
『1日何本映画見れる?』
2本目

【世界観】

何かの映画記事で山崎貴と樋口真嗣が推してた映画で、当然「移動都市」とか言われたら見たくなる。壮大なポストアポカリプトワールドで魅せる美麗な世界観と破滅後の人類の憂いはありありと見せびらかしてくれるのだが、冒頭で呈示された移動都市チェイスとある復讐に纏わるアイテムの行方は、物語の進行されるためにわざとらしく配置されたに過ぎない。ハイライトで見れば移動都市の構図や空中戦の凄まじさ、そして壁を越えたところにある反キリスト的で似非仏教的な意思表示は見受けられるが、途中の寄り道や復讐の中で生まれた遺恨のような寄り道がすぎるシーンがいくつか。それを悲哀の話にねじ込もうとしている節が見えてしまって涙に繋がらない。壮大な映画らしくクライマックスに「スターウォーズみんな好きだよね?」的な目配せというか意図的なあざとさがスケールのデカい世界観の中で許されるレベルかというと内包しきれていないエゴとして映る。そりゃ、上記に挙げた2人の監督は好みであろうし、憧れたというよりはもっと違う手もあるとクリエイター心はジリジリと前に進ませる魔法的なモノはあるだろう。純粋なポストアポカリプトのテンションをワールドに付与できていないが、今までの映画の肌触りでは考えられなかった「移動都市」という世界観はたしかに受け取ったと思える。ただその部分だけになっていて、他は借り物のスペクタクルであった。