Yusuke0523

29歳問題のYusuke0523のネタバレレビュー・内容・結末

29歳問題(2017年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

『29歳問題』
(原題:29 + 1)

香港で長年演じ続けられてきた舞台を映画化した、良質な作品





あらすじ

30歳を目前にしているクリスティは悩んでいた。

仕事ぶりは評価され昇進し、友人たちとのパーティーでも理想のキャリアウーマンとしてちやほやされるが、果たして自分はこのままでいいのかと。

忙しくなったことで自分が嫌な女になってることを自覚しながらも止められず、仕事へのプレッシャーから同僚には疎まれ、認知症の父から毎日のように鳴る電話にも悩み、出張を控える彼氏にもそのイライラをぶつけてしまう。

更には水漏れで家主が勝手に建物を売却してしまったおかげで、家からの退去を余儀なくされる。
ようやく見つけた1ヶ月間の仮住まいは、見ず知らずの女性の部屋。

その部屋の主の名前は、ティンロ。
クリスティと同じく30歳を目前に控える女性だった。
彼女はパリへ1人旅の最中で、その期間だけクリスティに部屋を提供することになっていたのである。
まだ見ぬ仮住まいの住人へ宛てたビデオレターからも、天真爛漫で明るい女性だということが窺えた。

部屋の傍らにティンロの日記を見つけたクリスティは、その中に書き記されていた彼女に、日々の仕事や私生活で雁字搦めになっている自分とは真逆の、人生を自由に謳歌する姿を見た。

まだ会ったことのない彼女の生き方に惹かれた彼女は、不器用ながらも自身の生き方を見直していくーーー。










感想
この『29歳問題』というタイトルに惹かれて観たけど、これが大当たり

29歳から30歳の間って、今まさに自分がそうだけど、周りの環境もあってか、意識的にもっと大人にならなければという変な責任感が芽生えがちなもの

身支度をしながら何度も“会社休みたい”と心で呟くクリスティの姿に共感したり、日々の悩みが徐々に浮き彫りになることで彼女に同情したり

何でも1人で出来る強い女性にならないといけない、という変に強迫観念じみた独り善がりな面はあるけど、「30歳になる自分はこうでないといけない」とか、「30歳ならこうなってて当たり前」みたいな空気が蔓延ってるのも事実なので仕方ない
逆に、ティンロの生き方に惹かれ、自身の生き方を見直すようになってから少しずつ変わっていく姿に応援したくなった

ただ、決して明るい話ではなく、得るものがあれば失うものもある
クリスティが生き方を見直そうと決意した時には、その代償を受け入れなければいけなかったというのが何とも切ない

劇中ティンロが呟いた、“人は切迫してからようやく真剣に考える”という言葉が何とも重く響く
また最後の原作者でもある監督からのメッセージ、「一段一段 どの段階(ステージ)もゼロから始まる」という言葉にも感銘を受けた

将来に悩む全ての人に観てもらいたい映画
Yusuke0523

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