Yusuke0523

七つの会議のYusuke0523のネタバレレビュー・内容・結末

七つの会議(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

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『七つの会議』
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営業課きってのぐうたら社員が、大企業の深い闇に挑むお話





あらすじ

部長の北川の下、結果至上主義の営業部は、今日の会議でも怒号が飛び交う。
そんな中で一人、堂々と居眠りする社員。
彼は、所属の営業一課で“居眠りハッカク”と嘲笑されている八角(やすみ)である。

ある日、八角に対して度の過ぎた叱責を行った課長の坂戸は、八角への「パワハラ」として突如地方へ飛ばされる。
その後任は、二課で北川に絞られていた原島が任命されることに。

一課に移ってから原島は会議で再び北川に絞られ、原島は為す術もなく椅子に座ったが、その瞬間にその椅子が壊れる。
全員が笑っていたが、その場に同席していた事務の浜本は、愕然とした様子で壊れた椅子を見る北川と、鬼のような形相で北川を睨む八角の顔に気づく。

その後も、一課への返り咲きを狙うカスタマー室の佐野の左遷、浜本が行っていたドーナツの無人販売の無銭飲食事件など、八角に関わった人間が飛ばされることに違和感を覚えた浜本は、原島と共に八角を探るようになる。

2人がこそこそと探っていることに気づいた八角は、真実を話し、これ以上関わるなと釘を刺すが、義憤に駆られた浜本と原島は引き下がらず、八角と共に真実を暴くことを決める。

そうして八角たちは、恐るべき大企業の闇を知ることとなるーーー。










感想

池井戸×TBSは間違いない
大好きな役者達が一堂に会した、オールスター映画



僕は本作品の本当に豪華な出演者の中でも、とりわけ八角役の野村萬斎さん、浜本役の朝倉あきちゃんのファンなので、このお2人を同時にスクリーンで観られて、本当に幸せだった



この映画、主役は萬斎さんだけど、物語の実質的なストーリーテラーの役割は、全て朝倉あきちゃん演じるヒロインの浜本が担っている
彼女が始めたドーナツの無人販売が作中でキーとして描かれ、“寿退社”で会社を辞めることが決まってるからこそ、怖いものなしで突っ走っていく様は痛快

暑苦しいゴリゴリの男社会の中で、原島役のミッチーと彼女のコンビが清涼剤のような存在で、基本観客はこの2人と一緒に物語を辿っていくことになるので、重苦しくなりすぎず、小気味良く観られる



池井戸×TBS作品の常連がかなりの人数出演されてることも売りのひとつ
音尾琢真さんや土屋太鳳ちゃん、小泉孝太郎さんは1シーンのみの登場だし、『陸王』や『グランメゾン東京』にメイン級で出演していた吉谷彩子ちゃんも、カスタマー室のほんの数秒しか出演していないし、とにかく役者の使い方が贅沢

そして、嫌味な経理部の新見を演じた藤森慎吾さん、かなりのハマリ役で、意外な人選がまたも功を奏した
あそこまで振り切ったクズ役が出来るんだなと、心から感心した



物語の核となる、ネジの強度偽装
これは今までに積み重なってきた悪しき企業体質がそうさせていたことが、終盤になるにつれて徐々に明らかになり、次第に本当の悪が見えてくる

今の時代実際にこういうことは有り得そうだし、ラストで八角が語る言葉は、現代のみならずそう遠くない未来に向けて、会社の在るべき姿を説いたのだと思う
Yusuke0523

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