Yusuke0523

アド・アストラのYusuke0523のネタバレレビュー・内容・結末

アド・アストラ(2019年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

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『アド・アストラ』
(原題:Ad Astra)

ブラッド・ピットが主演と共に製作も兼ねた、広大な宇宙が舞台のグレートジャーニー





あらすじ

大気圏(恐らく成層圏あたり??)で船外活動を行っていた宇宙飛行士のロイ少佐は、電磁パルスの影響で船が大破したことで、船外に投げ出され地球に真っ逆さまに落ちるが、冷静な判断力で宇宙服に内蔵されていたパラシュートを使い、無事に地球に生還した。

後日、上層部に呼び出され、船の破壊について聞かれるのかと思いきや、そこで聞かされたのは、死んだと思われていた父が、海王星の近くで生存しており、人類を滅亡させる計画を実行しようとしているということだった。

ロイは、真相を知るため、父に会うために、銀河系を駆ける長い旅へと向かうーーー。










感想

個人的には全然アリ
最初の数分を観ただけで、「そういうタイプの映画だな」と思考を切り替え出来たので、とても内省的で、1人の宇宙飛行士の物語としては充分素晴らしい

主演のブラッド・ピットは、恐らく『ツリー・オブ・ライフ』みたいな映画をもう一度やりたかったんだろうと思う
とてつもなく大きな規模で、小さな個の話をする、みたいな話、僕も好きなので気持ちはわかる

海王星の父と地球にいるロイの途方もなく離れた距離は、父と子としての心の距離と同じで、ロイが必死に父のもとに向かうのは、父に愛されたい息子としての気持ちの比喩だと思う

SF的要素についても、そんなに目くじら立てて観なければ楽しめる
月や火星には既に人類が入植していて、月はちょっとした観光地みたいなことになってるって描写、今まで有りそうで無くてすごく新鮮だった

特に月でのカーチェイスは他ではなかなか観られない
ただ、出来ればよりリアリティを追及するために、声以外は徹底的に無音であって欲しかった

あと何と言っても、本作は画が素晴らしい
35mmフィルムを使用し、現代ハリウッドを代表するカメラマンの1人、ホイテ・ヴァン・ホイテマが撮影を担当
長年ノーラン組として撮影を担当していたウォーリー・フィスターからバトンを受け取り、『インターステラー』以降のすべてのノーラン作品の撮影を担当しており、本作でもその腕前を遺憾無く発揮している

特に暗部の表現は実に巧い
内省的な物語と静かな音楽に、宇宙の闇が美しく映える
多少小難しい話もあったりするけど、台詞もあまり多くはないので、画と物語をしっかり堪能出来る、今時非常に贅沢な作りのSF映画だなと

IMAX上映が早々に打ち切られてしまったので、スクリーンで観る機会に恵まれなかったけど、これは大きなスクリーンで観たかったな
Yusuke0523

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