本作を観てから1ヶ月、「こじらせ女子とは何ぞや」と考え続けてきたけど、つまるところ「自意識過剰かつ自己肯定感が低く、自分に価値を見いだせない女性」ということなんだろうな…。自意識が逆噴射して、常に頭の右上辺りから見てる目がある。自分の人生の主人公になり切れないような。
そして「自分に価値がないと思い込む」人間には2通りあって。「価値がない＝他人を常に接待して存在価値を認めてもらおう」というタイプと、「私には価値がないから、人と関わってはいけない」と考え殻に閉じこもるタイプ。主人公のヨシカは（そして私も）後者の側の人間。
1ヶ月考えなきゃ気づかないことなんかよー！と突っ込まれそうですが、ヨシカの挙動に思い当たりありすぎてうまく言語化できなかったんですね…。
10年物の片思いを育んできた同級生「イチ」との思い出を反芻する様子とか、自分に好意を抱いてる｢ニ｣への態度とか。ただ、イチへの絶対的な好きの感情もニへのぞんざいな対応も、相手への純粋な気持ちというよりは自己愛のもつれのような所も感じる。イチを見つめ続けるために考えた「視野見」も、気づかれて拒否されることを恐れる＝自分を守るためだもんね。
蛙化現象みたいなニとの関係に終止符を打てたのが、ちゃんとぶつかれたからなんだろうな…
とはいえヨシカが超変人というわけでなく、ある程度共感を得られる程度には普遍的なキャラクターなのです。マイルドな綾波レイ的な。だから男性にも非常に支持されてるのかと。
ムッときたときに「は？」とガラ悪いリアクションできるし、上司に「フレディ」なんて陰のあだ名つける程度のユーモアもある（We will rock youのイントロいちいちリズム取る場面おかしい）。
タモリ倶楽部とアンモナイトが好きなOL。友達知り合いに1人くらいいそうな感じの。
ビッチじゃないけど女の子であることを諦めてない（でもキマってない）普通の女の子のリアリティが、支持されてる理由のひとつかもしれません。
あと適度に黒いよねw
松岡茉優さんのヨシカ普通に可愛くて、これで24年間誰にも告白されないとか不自然すぎるし、ヨシカが拗らせた原因がよくわからないから、そういう身に覚えがない人には不親切かなと思いました。あとラストのセリフは、原作と同じ扱いでよかったのにな。
空想をミュージカル立てにするという発想は映画的でとてもよい。アメリもこんな映画だった気がするし。
ギリ手に届きそうなイケメン感出してる北村匠海のイチと、上背もあって悪くないのに絶妙にウザい渡辺大知のニもハマってた。
