クレセント

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のクレセントのレビュー・感想・評価

4.0
Wポスト紙の編集主幹は言った。ケネディとジョンソン大統領の双方に付き合った夫婦で新聞社のオーナーは貴女とフィルだけです。常に政治家とマスコミは信頼で結ばれ、晩さん会には互いにジョークを言い合っていたのです。そこで社主である彼女が反論した。私はジョンソンを守ってはいないわ。いや、彼の国防長官であるマクナマラを守っているのです。彼は今回の文書の依頼者ですよ。いえ、私が守るのはこの新聞社だけよ。それならば、私をケネディの仲間呼ばわりをしないでいただきたい。あの日私と妻はジャッキーを病院で待っていました。そこへ血まみれのピンクのスーツを着たジャッキーが現れたのです。ジャッキーは私を見るなり言いましたよ。「これから貴方が見ること、私が話すことは何一つ書いてはならない」とね。私はたまらなく悲しかった。彼を取材対象とは思ったことがなかったからです。しかしそれは私の過ちだったのです。彼はそれを知っていたんですよ。そう、両方はダメなんです。友人か記者かを選ばないとね。新聞記者が政治家と親しく葉巻を吸う日々は過ぎ去ったのです。

この言葉のやりとりは、どのかの国の新聞社の社主にとっても耳が痛いことでしょう。米国と違い、報道の自由を言い張るだけの法的な根拠性に乏しく、特に国家的な犯罪のリークとなれば立法機関が秘密保護法の観点から差止をする可能性があるからです。ゆえに特ダネといえば所詮週刊誌まがいの三流ネタでしかなく、国が揺らぐほどのスクープはあり得ませんが。
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