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ライフ・イットセルフ 未来に続く物語のkomoのレビュー・感想・評価

4.8
2019年劇場おさめはこの作品で。
今年も沢山のアツい映画に出会えて幸せでした♪

komoの2019年劇場映画ランキングは、
1.グリーンブック
2.ガーンジー島の読書会の秘密
3.運び屋
4.ライフイットセルフ(本作)
5.女王陛下のお気に入り
6.シティーハンター 史上最香のミッション
7.ワンスアポンアタイムインハリウッド
8.イエスタデイ
9.ブラッククランズマン
10.翔んで埼玉
でした!
ここに載せてないものも全て面白かったです✨
DVDで観た作品では、フォロワーさん経由で知った『5つの銅貨』が一番感動しました(*^^*)


本作ライフイットセルフは『パルプ・フィクション』へのオマージュ作品である、という前情報のみで観に行ったのですが、その触れ込みは伊達ではありませんでした。
パルプフィクションの直接的なパロディシーンがあるだけでなく、時系列がシャッフルされたシーン構成や、4章仕立ての物語が錯綜する点、会話シーンのカメラワーク、サミュエル・L・ジャクソンの特別出演(ナレーション)など、巧妙で美味しいリスペクトがふんだんに盛り込まれていました。
特に序盤は騙されまくるので、ネタバレなしで観た方が絶対に面白いです!

ギャングの物語ではないぶんパルプほどのダウナーさはありませんが、前半は人生の不条理を斜に見たかなりドライなつくり。全4章のうちの1章目が壮絶なスタートだったためどんな映画になってしまうのだろう…とハラハラしましたが、まさかあの状態からこんなにも感動的なラストに導かれるなんて。
1人の男の内面から始まった物語が、壮大な輪となって終わるのは本当に凄まじい構成。

本作には命尽きるまで愛を燃やした人物もいれば、愛を燃やしたがゆえに命が尽きてしまった人物もいます。
死ぬべきではないタイミングで、愛すべき人を愛しきれずに死んでしまった人は、どれだけ浮かばれないだろう…と、序盤では考えてしまいました。
そして生まれながらに両親が傍におらず、普遍的な愛や生き方を知らない人物が、誰かに愛を与える側になるためには、どうすれば良いのだろう。
人生にはどうしようもない不幸があるし、生まれながらに不幸であると言える人も確かに存在します。

しかしこの4つの物語が交錯するということが、少なくともこの映画の中ではそれぞれの人生への救済となっていました。
どんなに八方塞がりのようであっても、この世に自分以外の人間がいて、血縁というものが存在する限り、自分の命は他の誰かの中にも存在しているのだと。

第1章に登場したヒロインは学者肌で、聡明な理論の元、ボブ・ディランの音楽性を敬愛しています。
そして第4章でまた別の女性が息子に語りかける言葉は、ボブ・ディランが歌う愛の観念に通ずるものがありました。この女性は決して学者ではなかったけれど。

特別な知恵があってもなくても、人は自分の生や愛について考え、己の人生の語り手となります。
しかし自分がいつ死ぬかすらも知ることができない人間は、どれだけ自分の人生という物語を知っていても、『信用できない語り手』以上の存在にはなれません。

この『信用できない語り手』というテーマを全ての章で貫徹させつつ、それでいて人生というものを最後に美しく語りあげるという構成、本当に素晴らしかったです。
クリスマス鑑賞&今年の映画おさめがこの作品でよかった!
めいっぱい泣けて、爽快な気分になれる終幕でした。
2020年もこういう、人生の良さを謳った作品に出会いたいなぁ。

今年の終盤は引越し、就活、就職とあってフィルマークスに来られる時間が少なめでしたが、出たり消えたりする私にいつも付き合ってくださったフォロワー様、本当にありがとうございました!
来年もよろしくお願い致しますm(_ _)m
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