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心と体とのkuuのレビュー・感想・評価

心と体と(2017年製作の映画)
3.9
『心と体と』
原題Testrol es lelekrol.
英題On Body and Soul.
映倫区分PG12.
製作年2017年。上映時間116分。

ハンガリーの鬼才(鬼才と記載されてましたが小生今作品初見監督です)イルディコー・エニェディが18年ぶりに長編映画のメガホンをとり、『鹿の夢』によって結びつけられた孤独な男女の恋を描いたハンガリー産ラブストーリー。
ポスタージャケットの透明感のある美しさに目が止まり視聴。

ハンガリーの首都ブダペストの郊外にある食肉工場。
品質検査官の産休代理として派遣された女子ラーツ・マーリアは、ネガティブな性格で、職場になじめへん。
中年男性エンドレは、財務部長の役職ではあるものの、左腕が不自由のため引け目を感じ、職場ではこれまた消極的で、人並みの幸せを求めることは諦めていた。
ふとしたことから、毎晩二人は同じ夢の中でそれぞれメス鹿とオス鹿となって交流していたことを知り、現実世界で二人の気持ちに変化が生まれてくる。。。

傷ついた孤独な2人の魂が、過酷で無理解な世界の中で心を通わせようとする、今作品のストーリーてのは古くから無くはないプロットやけど、繊細な心理的洞察や、強い美的感覚、ほんでアレクサンドラ・ボルベーイとゲーザ・モルチャーニの2人による印象的で抑制された演技は、慣れ親しんだ物語パターンを克服してると思いましたし、時折、特別な何かを感じさせてくれる作品でした。
まぁ型破りなとこもあるけど、非常に親しみやすい今作品は、謎めいた形(雪の森の中の2頭の鹿のショット)から始まる。
この被写体に見事なクローズアップ映像、断続的に登場するのは印象的やった。
今作品の惹かれる点は、感情的な親密さちゅうのを、絶妙なレベルで維持しながら、冒頭の生々しい屠殺場のシーンをはじめとする強烈なイメージを観てる側に投げかけているとこです。
映像は一貫して印象的で、赤と白の間の色調が、血と筋肉の色を反映しているかのようでした。
イルディコー・エニェディ監督は、今作品で、光と空間を最大限に活用してるし、それを幾何学的な構図や、パンくずの散らばりなどの細部を鋭くコントロールした浅い焦点を最大限に活用してる。
アンサンブルのキャラも素晴らしいし、特にエンドレの不安定な同僚を演じるゾルターン・シュナイダーや、甘く刺激的なカメオ出演のイタラ・ベケスは、性についての知識を持ち、マリアにプレゼンテーションのコツを教える年配の清掃員を演じている。
今作品は、人生を肯定する人間関係のドラマと、食肉生産の倫理に関してとのより問題のある共鳴的なものとの間のビミョーな境界線を歩んでいる。
音楽は、レコード店でのちょっとしたミスジャッジのコメディーを除いては控えめで、イギリスのフォークシンガーソングライターのローラ・ベアトリス・マーリングのバラードが、最終的に主人公の凍りついた魂を解きほぐすのに役立っているって感じたかな。
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