とりん

グッバイ・ゴダール!のとりんのレビュー・感想・評価

グッバイ・ゴダール!(2017年製作の映画)
3.2
2020年44本目

フランスの巨匠ジャン=リュック・ゴダールの2番目の妻で、ゴダールの「中国女」で主演を務めたアンヌ・ビアゼムスキーを描いた作品。
若くして巨匠と恋に落ち、新しい仲間との出会いや映画づくりなどの刺激的な日々を送っていたが、やがてゴダールがパリでの革命に傾倒していき、振り回されていく。

フランス映画らしい雰囲気と昔の映画のような構成や魅せ方に惹かれた。
章ごとに区切られて構成されているので、その時々の背景やゴダールの変わりよう、そしてアンヌの気持ちも変わっていくのがわかりやすく汲み取れる。
最初は革命にのめり込んでいくゴダールを見守っていたが、次第に彼は言動も態度も変わっていき、周りにきつく当たるようになっていく。
元々我が強さは出ていたけれど、どんどんひどくなっていき、革命運動をしている学生たちからも非難を浴びることもしばしば。
それでも寄り添ってはいたものの、気持ちが離れていくのも見て取れた。

アンヌにとって若くして巨匠の側にいて、今までにない世界という刺激的な日々は良かったと思うが、こうなっていくのは不憫にも感じられる。
元々娯楽映画を作成していたゴダールが政治的思考の強い映画製作に傾いていくのもこの作品から見て取れる。
この際に自分の過去の作品すらもクソだと否定しまくっているのには、自分の作品にすら愛着を入れないのかと彼の変わりようには驚く部分もあった。
この映画はアンヌの自伝的小説を元に作成されたらしいので、アンヌ視点のものも多く、ゴダール側から見ると違う解釈や考えがあったのかもしれない。
とりん

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