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アナと雪の女王2のneroのレビュー・感想・評価

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)
3.0
予定はなかったんだが、知人の熱烈なすすめにより吹替版鑑賞。吉田羊の演技だけ見に行ったと言ってもいい。正直あの姉妹にまったく魅力を感じないので、映画として評価する気はないが、アニメーションは見事の一語に尽きるね。「モアナ」で完成された髪や水の振る舞い描写はさらに精緻さを増し、衣装のテクチャーや重力表現も一層進んでいることがわかる。前日山崎貴版ルパンを見たもんでCGの到達度の差に気が遠くなるよ。

字幕派なのでいままで気にしたことはなかったが、今回気づいたことがあった。
日本のアニメーションでは口の開閉は基本3パターンで作画される。それはCGでも変わらない。一方米国は事情が違う。昔のTVアニメーション(ジョニークエストとかね)でよく使われた”口だけ実写合成”を覚えている方はいるだろうか。はっきり言って不気味だったよねえ。ただそれほどに米国のアニメーションは発音と口の形の一致(リップシンクロ)に神経を使ってきた。「白雪姫」などでは、口の形ばかりか舌の動きまで再現され、ため息が出る細かさだった。
CGが主流となった現在、技術の進歩というかノウハウの蓄積なのだろうが、人間型キャラクターの発音再現もかなり自然になって来ている。ただし、他言語吹替の場合のリップシンクロの不自然さが逆に際立つことになっているのではないだろうか。本作でも特に歌唱シーンで違和感を感じた部分が多かった。

「ズートピア」あたりからか、画面内の看板などで言語ローカライズが行われているのは気づいた。フォントこそ限られたが、おそらく公開先ごとに言語パラメータを変更できるようになっていたのだろう。「スパイダーバース」ではさらに一歩進んでいて、表示領域のサイズまで含めてコントロールされた日本語表示を実現していた。2コマ打ちのためかセリフの短さのためか発音での違和感は感じなかった。あとはオノマトペくらいかとも思っていたが、本作を見てリップシンクロというハードルがまだあったかと気づかされた。直接表情の表現にも影響してくるのでそう簡単ではないだろうが、吹替ローカライズもそう遠くない将来に実装されるのではなかろうか。方向性が違うとはいえ、ますます日本のCGと距離が開いていくねえ。
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