あまのかぐや

マイティ・ソー バトルロイヤルのあまのかぐやのレビュー・感想・評価

4.5
まだソフトを持っていないキャプテンマーベルを除いてこれまでのフェーズ1~3の計20作品。

この中で好き=繰り返しみている作品は、というと(最推しのキャップ3部作を除くと)

1ブラックパンサー
2ソー・ラグナロク
3ガーディアンズオブギャラクシーリミックス
(次点 スパイダーマン・ホームカミング)

たぶん、こんな感じだと思います。それぐらいに好き。一番、この説明が的確だと思います。

なんどか劇場で流れた予告を観て「ぷっ、」と失笑してたあのころを自分を蹴りたい。

シビルウォーにいなかった、ということはアベンジャーズのストーリー上でもかなり扱いに困ってたんじゃね?って思われる雷神様と緑の巨人を、この際、思いきり派手派手しい色合いのスペースアドベンチャー、戯画的な舞台に放り出してみたら、ものすごくハマっちゃったよ、どうしましょう。

それまでのシリアスな古典劇のような設定を揶揄するかのような「オーディンの息子たちの物語」の寸劇。このシーン大好き。演じるはヘムスワース家のご長男とマット・デイモンそれに父上役はサム・ニール。ミッドガルドの俳優たち、こんなところで何しとん。

監督がタイカ・ワイティティになって、地上関連のあれやこれやを潔く一切排除。あれだけ絵柄はごちゃごちゃしてるにも関わらず、物語としてはスッキリ見やすくなった気がします。

ソー、ロキ、その父オーディン、そして(姉がいたんか!)初登板、ヘラ様。

兄と義弟、父と兄弟、姉と兄弟…神様だって家族関係のゴタゴタを持ってる、その関係に的を絞ったらソーやロキへの親近感というか、愛着がぐっと深まりました。

ちなみにわたしは吹替で見ましたが、ヘラ様の声が天海祐希さんで恐ろしいほどお似合いでございました。ヘラ様メイクのブランシェット様の素顔がいっさい見れないので、いっそ天海祐希さんでもよかったかもしれない。

唯一の地上戦(?)が、ミッドガルドのケアハウスに入れられたオーディンを探して兄弟がニューヨークを訪れるシーケンス。これ、こんなに尺、必要だったか?ぬるくてまずそうなビールもなんだか美味しそうに見えてきちゃうぐらいしつこい。この○○○○○の登場って必要だった?と思ったりもするのですが、このシーン、笑いっぱなしだったから結果オーライ。

結局これはソー3部作で最長、120分超えの作品になっているのだけど、それを感じさせない。ムダなシーン、ムダな会話とみせて、すべてが必要であったし、すべて忘れがたい(特に兄弟のドタバタ)

そう、ハルクなんですよー。なんであんなにしゃべるんだぁ!?意思疎通できちゃうんだぁ?!ハルクというかバナー博士は「アベンジャーズ1,2」での、スタークと反対側にいるような沈着冷静、穏健派な科学者のたたずまいが好きだったので、このコメディ担当へのシフトチェンジには納得いかないのですが、でもソーとのへっぽこなやりとりも面白かったから、これもまた結果オーライ(ってぐらいしか初見のときは思わなかったけど、彼の存在があったからIWでは…)

ソーとハルクのへっぽこコンビ、そこに絡んでくるバルキリー(テッサ・トンプソン)がめちゃくちゃかっこいい。「移民の歌」をBGMにしたラストバトル、虹の橋の向かい側から剣を抜き構えながら敵に攻め込むバルキリ―。ソーの雷神覚醒の興奮と相まって、ちびりそうなぐらいテンションあがった。良いシーン。ヘムズワースとの再共演「メンインブラック」すごく期待しちゃう。

中盤の舞台、惑星サカールのシーン、ぴこぴこしたBGMのチープな世界観。ロキ以上の道化を演じたジェフゴールドブラム。サカールでの一つの盛り上がりとして、邦題となったソーとハルクの「バトルロイヤル」シーンがあります。バトルロイヤルというサブタイトルは興業的には目を引くかもしれないけど、実際は北欧神話からとった「ラグナロク」のほうが正しいと思います。IW前のステップとしてもね、「神様」としての存在の終焉、そして「ヒーロー」として目覚めたソーを感じるのです

いろいろ名場面をあげたらきりがなりけど、やはり圧巻は(2回めの)「移民の歌」ですよねぇ。あれだけ1と2で力入れて描いていたソーの故郷、アズガルドの崩壊と、移民として宇宙に放たれたアズガルドの民。この曲、ただのサントラとしてではなくこの映画のテーマ、ソーというキャラクターのテーマ、そして次のステップ「インフィニティウォー」につながるテーマ。すべてを網羅している。こんなに正当な使いどころが他にあろうか

IW観た後だと、ニューヨークも、北欧の海を見下ろす草原も、ムニョムニョの破壊も、ハルクの頑張りも、すべてIWへの伏線のように思えて…そして、あれだけ確執を極めたロキと、このラストにおいて初めて兄弟らしい立ち位置に立ってかわす会話も…(涙)

ムニョムニョがなくても本質的な力を開花させたソーが、まさに神のごとく、いや神なんだけど、天から降りてくる希望と希望と希望に満ちた胸熱シーンを、IWのワカンダ決戦の終盤、「ソー降臨」のシーンで思い出したのですよ。「よっしゃー!!兄上、待ってたー!」とテンション爆アガリの後に無惨に打ち砕かれる心…こんなのってある?あのどん底まで落とされる絶望感の伏線もここに敷かれていたとは…。

ソー3部作を並べてみても1と2のスコアが★3.6なのに、この3作目は跳ね上がって★4あるんですね。みんな好きなんでしょー、もー!

ロキよりもソー派のわたしとしては、短髪、隻眼に100万点献上したいです。
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