フラハティ

さらば青春の光のフラハティのレビュー・感想・評価

さらば青春の光(1979年製作の映画)
3.1
イギリスの60年代当時の若者文化を知りたいなら、この映画を観れば勉強になる。
ださかっこいいって言葉が似合う。


イギリスを代表するバンド、The Whoのアルバム『Quadrophenia(四重人格)』がモチーフにもなったと言われる本作。タイトルも原題は 『Quadrophenia』となっている。
音楽アルバムが映画のモチーフになるって聞いたことない。
でもコンセプトアルバムといって、アルバム自体があるテーマに沿ったものになっているのでそういったことが可能だった。
それほどThe Whoは影響力があったのか。すごい。


個人的に、世界の中心がアメリカならば音楽の中心はイギリス。
イギリスは多くのバンドを誕生させ、若者を中心に多大な影響を与えた。
かぶれるならアメリカよりもイギリスがいい。


モッズvsロッカーズ。
時代の流れで生まれた若者たち。
今とは違う価値観。いや、もしかしたら通じるところはあるのかもしれない。

青春時代とは不思議なもの。
大人と子どもの間で揺れるアイデンティティー。
大人になることから逃げたい。でも子どものままでもいたくない。
そんな感情が浮かんでは消えていく。
本作の主人公であるジミーもそんな青年。
でも僕はあまりジミーには共感ができなかったな。時代の流れなんかな。
ジミーについては女々しいなっていう感情が浮かぶ。
モッズの仲間とは違い、仕事を失うし、女の子を逃すしまあ運が悪い。
どこか自己中なところも見えるし、僕が友達でもドンマイくらいしか声かけられなそうだ。
そんなジミーは青年期の悩みというよりは、なんか反抗期のように映るんだよね。
結局のところ不良なやつらが悩んでる姿を見ても、自分にとっては絶対近づかないようなやつらだしってことで、一歩引いた目線で観てしまっていることに気づく。

何のためにモッズやロッカーズは暴動を起こしたのか。
彼らは何のために街を走り回っているのか。
でも結局、現実に折り合いをつけている人間だっている。
そんな部分に矛盾を感じながら、ジミーはある決断をする。
これが冒頭に繋がるっていう意見もあって、僕もそっち派。


『トレインスポッティング』は何かの中毒から抜け出せないけど、抜け出さなくちゃいけないというクズなりの悩みを持ってた。
ドラッグではないにしろ、何かしら中毒になっていて、現状や自分がサイテーなことに気づいているレントンと自分にはどこか似てるところがあるように見える。
でも本作は、周りに合わせた不良たちの悩みが抽象的すぎて感情移入がしづらかったように思う。
あ、でもスティングはめちゃめちゃかっこよかった!!!
オーラが出てるよね。光ってる笑
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