minorufuku

おじいちゃん、死んじゃったって。のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ヒロインの祖父が亡くなり、祖父の子供たち三人とその家族が集まる。疎遠になっていた家族同士だが、葬儀の準備は小さないざこざが噴出しつつも滞りなく済んでいった。しかし葬儀のあと、ささいな口論からお互いへの不満や妬みの感情が爆発してしまい…という話。

日本の田舎などでは結構ありがちな家族間のぎくしゃくした関係を葬儀を通して描いた作品。
男性の登場人物がことごとくダメな人間だらけ。特に祖父の長男と次男の相手の発言や行動にいちいち不毛な小言をもらすやりとりは本当にどうしようもないのだがリアルな兄弟関係に思える。それに対してヒロインをはじめとした女性陣はしっかりとしていて、どこか冷めた目で傍観している感じだった。
祖父の死の報が届いた時に、彼氏とSEXをしていたという罪悪感と、祖父が亡くなったのに誰も悲しんでいないのでは?という違和感をヒロインが少しずつ解消していく流れが皮肉めいた視点で描かれているのが面白くて心地よい。
各家族の問題点が話が進むにつれて表面化したり、解決したりを繰り返して進む構成で、葬儀の段取りを組むので精一杯で悲しむ余裕もなかった登場人物たちが、ふと我に返って祖父母とのエピソードを思い出してしみじみと追悼の感情を見せる場面が随所に見られた。また、離婚で離れ離れになっていた長男の家族がドロ沼な状態からぶつかり合って再生するのも良かった。
納棺と際に、痴呆のため祖父が亡くなったことすら理解していないように見えた祖母が突然祖父の名を叫び出すシーンがとても印象的だった。
派手な展開は一切ないが、とても楽しめた作品。ただ、CMディレクター出身の監督ということもあるのか、突然この映画の空気に合わないような映像が挿入されるので、え?となってしまった。最後のインドのシーンは全然違う映画かと思ってしまう。違和感ばりばり。

主演の岸井ゆきのは、どの映画でも濡れ場がある気がする…
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