このレビューはネタバレを含みます
平凡な家庭に不満なコージーがリーと一緒に人を射殺したかと誤認して二人で逃避行するお話。コージーの父ボビーのドラムの音がカッコいいです。
とても小市民的な逃避行。その小市民性を演出するリーが素晴らしかったです。演技は今一つでしたが…。
そして逃避行に希望を見るコージーも、抑制的ながら素晴らしい。途中存在感が薄かったですが、圧巻のラスト。発砲するシーンの表情が凄い。
舞台が動かない逃避行という設定が素晴らしい。母にならない、なりたくもないようなコージーが、小市民極まりない逃避行に胸踊らせ、裏切られる。夫は顔すら映されない。裸足はトンマさの演出か社会性の象徴か。ハイウェイが象徴的。
独特なカメラワークも相俟って、鬱屈した様相と滑稽さや気だるさが見事に同居していたように感じました。
尋常じゃないテンポの良さで、日常を抜け出すための出口の一つの答えを出しているかのような、その意味ではラストにカタルシスも感じる傑作でした。