ぼのご

春の夢のぼのごのネタバレレビュー・内容・結末

春の夢(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

目の前に都会があって、あからさまに格差が見えるスラム街。閉塞感を伴った環境だし、社会で当然のように普通に暮らせる人からしたらどう見えるのか知らないけど、仲間たちと一緒ならごきげんになれる主人公たちは、僕にはとってもキラキラして見えた。

ハン・イェリさん、おおらかで包み込むような優しい感じが素敵。『ミナリ』の役とだいぶ印象が違って、同じ役者だってことに観ている間は気が付かなかった。役者さんたちの演技が皆自然。ヤン・イクチュンさんが見せる思いやりとユーモアと笑い声、好きすぎる。
でもこの四人それぞれが持ち合わせている思いやりや強さって、たぶん相当な苦労とか挫折とか、悔しい思いをしてきた末に身に付いてしまったもののように感じられて、優しさを見ていて泣きそうになっちゃった。

四人で居る場面は本当に夢みたいに素敵で楽しくて、タイトルが出る直前であの三銃士が居なくなってしまった時は、ひょっとして消えてしまったのかと不安になった。
またすぐ出てきて一安心だったけど、四人が、或いは四人が一緒に居る時間が、いつ消えてしまっても不思議ではないような雰囲気がその後も付き纏って、皆が楽しくしている場面が微笑ましいと同時にずーっと不安だった。それで不安が的中してしまうラストが切な過ぎ。

いくら楽しくて大切に思っていても、納得出来ない状況やいっぱいいっぱいになってしまうことというのはきっとあって、それをどうにかしようとするのは全然悪いことじゃないし仕方のないことだと思う。
でも寧ろ、それが悪いこととは言えないからこそ、その結果今までの夢みたいなひと時が儚く消えてしまった時に、余計にキツく感じてしまいます。あーもう、四人で居るところ大好きだったのに、つらいよ〜!
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