horahuki

デッドタイム・ストーリー/おとぎ話は血の匂いのhorahukiのレビュー・感想・評価

3.4
怖い話聞かせて!

何度寝かしつけても「怖い話聞かせて!」とねだってくるブライアンくんに、マイクおじさんが聞かせた3つのお話をオムニバスとして組み立てたベッドタイムストーリーならぬデッドタイムストーリー。

「やっと寝た…」と思ってエロ番組を見ようと一階に降りるたびに叫び声を上げ怖い話を聞かせろと喚くブライアンくんのワガママっぷりにマイクおじさんか可哀想になってくる子供怖い系ホラー(大嘘)です。


1話目
貧困のために2人の魔女に買われて召使いになったピーターくん。魔女たちは死んだ妹を生き返らせようとしている様子。動物とか植物とか材料の調達を手伝っていると、若い女を連れて来いと命令されてしまい…。

人を殺めることに抵抗のある善良なピーターくんが、捕まった若い女と脱出を図るという人生を決定づける選択をすることで一皮剥ける成長譚。のほほんと進んでいく物語に気を抜いていると、クライマックスの怒涛のグロ描写に度肝を抜かれること間違いなしな楽しい短編。真っ黒な心臓から無数の触手が現れ、骨を覆い隠していくことで受肉するという復活のグロテスク。フェイスハガーのような飛びかかる心臓。やたらとバッドエンドを望むブライアン少年の無邪気さも楽しい。


2話目
お婆ちゃんのためにお薬を買いに来たレイチェル。でも薬局の店員は怪しげな男と怪しげな会話をしていた。とりあえずいつも通り必要な薬を買ったけど、渡されたのは怪しげな男に手渡されるはずのクスリだった…。

クスリを買ったはずがババア用のわけわからん薬を掴まされてブチ切れた怪しげな男さんがババアとレイチェルにクスリを取り返そうと襲いかかる変化球赤ずきんちゃん。というのも男さんは狼男。クスリがないと変身しちゃうので必死。その必死な狼男さんと、彼氏と一発かまそうとしてるドキドキレイチェルさんを交互に映すもんだから2人の温度差が笑える。そしてラストはしっかり赤ずきんちゃん。


3話目
精神病棟から抜け出した息を吸うように犯罪をする極悪一家は、空き家になってるアミティヴィルのお家へ。でもお家には先客が。その先客は8歳の頃から14人を殺害した、こちらも息を吸うように人を殺す極悪サイキック少女だった…。

最近見た変化球な屋敷ホラー『呪われた家』の元ネタなのではないかと思われる、おバカでほっこりするハートフルキチ◯イコメディ。極悪と極悪の出会いによる化学反応が何ともアホらしいお花畑な空気感を生み出していて、必死に彼らを退治しようとする警官たちとの温度差がこれまた楽しい。警官は警官で極悪一家と極悪サイキック少女でそれぞれ担当が違ってて揉めてるのも笑える。


センスがあるのかないのかわからないけど、最後まで気の抜けまくったアホらしさが楽しいオムニバスでした。
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