サラリーマン岡崎

ジュピターズ・ムーンのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

ジュピターズ・ムーン(2017年製作の映画)
4.4
この映画が語ることは何なのか、
映画の終盤になるまであまりわからない。

難民が押し寄せるハンガリーの映画だから、
難民について描いているのだろうと思ったら、
対象は難民ではなく、ハンガリー人に対してだったことが、
終盤、主人公がベットの上で宙を舞う能力のある少年に語る一言でわかる。

日々生きていく中で、
地に足をついて、もがきながら何も見えなくなって、
奇跡など起きないと社会と人生に失望する人々。
そんな壊れた社会の中で、
何か希望を求めて動き出したのが難民。
その難民を「宙を舞う」と比喩しながら、
「奇跡」と表す。
それを見た失望しきったハンガリー人は何を思うか。

これは日本人も同じ。
むしろ、閉鎖的な国である日本の方が
失望の闇から抜け出せていないのかなと
映画を見てて思った。

仕事を淡々とこなしながら、
何も将来の希望もわからなく過ごすことが多い。
特に新しいことも珍しいことも起きない。
そんな人生に諦めることが多い日々。
そこにふと第三者が現れ、「奇跡」と出会うとき、
人々はどんな表情で、どうなるのか、
それを描いている。

宙を舞う映像も、インセプションやバードマンの等、ハリウッドのそれとは違うヨーロッパらしいクラシックな映像になっているのも見どころ。

少し暗いレビューになっちゃったけど、
すごいフレッシュで、
ちょっと人生に迷った時に見たくなる作品。