磔刑

ザ・スクエア 思いやりの聖域の磔刑のレビュー・感想・評価

3.2
「覆水盆に返らず」

自分が根っからの皮肉屋ってのもあって、作品のシニカルな視点で描くテーマとストーリーには共感させられた。主題に関わる内容は興味深かったし、映画としても満足感は高い。しかし、ワンカット、ワンシーン、ワンシークエンスが長く、時折、というか頻繁にテーマがボヤけてるように感じられた(自分の集中力の問題もあるが)。
それに主題に大きく関わる3つのストーリー(脅迫状、動画配信、猿のパフォーマンス)自体は面白いのだが、どうもその3つのストーリーが相互に上手く作用してるような気がしなかった。更にその3つの間を別の細かいストーリーで埋める構成なので、1つの大きな話をしていると言うよりは、細かいストーリーを繋ぎ合わせたオムニバス形式に近い印象を受ける。3つの話も割と中途半端な形で終わってしまうのでストーリーを追って観てると拍子抜けに感じてしまう。

多角的な視点で描くタイプの作品ではあるが、主題に関わる重要な事柄だけに絞って90分程度にまとめてくれれば良かったなと、個人的には思う。
磔刑

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